トコトンまで悩めばいい――。巨人は5日の広島戦(マツダ)に0―3と完敗。2カード連続負け越しとなり2位・ヤクルトに1・5ゲーム差に迫られた。右ヒザを痛めた遊撃の名手・坂本勇人内野手(33)の穴が埋まらない状況とあって現在、早期復帰に向けてリハビリ中の背番号6に、二遊間の先輩でもある本紙専属評論家の大下剛史氏が助言を送った。

 来日初先発のアンダーソンの前に巨人打線は7回までゼロ行進。救援陣にも抑え込まれた。原監督は「なかなか、いい投手戦だったけどね。まあ、こっちが0点じゃいかんね」と1安打の打線に奮起を促すと、今カード2失策目の遊撃・広岡には「それは本人が一番、反省しているでしょう」と話すにとどめた。

 攻守の要だった坂本が1日に右ヒザ内側側副じん帯損傷で抹消。不在の影響が勝敗に直結している。戦線復帰に向け、ファームで必死のリハビリを続けている坂本に大下氏は「今こそ思い切り悩めばいい。ここが野球人生の分水嶺になる」とアドバイスした。

 どういうことなのか。

「これまで坂本は腰(2017年)、左脇腹(18年)、右手親指骨折(21年)とケガはあったものの、足の大きなケガはなかった。自分のことで恐縮だが私が引退したのは今年の坂本と同じ34歳の年(1978年)。私の場合はずっと二遊間でプレーをしてきたツケが一気に下半身に出た」(大下氏)

 大下氏は遊撃(1967年)と二塁(1975年)でベストナインを経験している。それだけに遊撃の最多出場記録を更新中の坂本のコンディションは気になるという。「坂本クラスになれば生涯遊撃か、コンバートかは、自分で決められる。足を治しながら、ゆっくりと考える時間にすればいい」と大下氏は助言する。

 その理由について同氏は「坂本は高卒2年目で一軍主力となり、ここまでは比較的、順調にきた。自身の野球人生を俯瞰(ふかん)して考えられる機会は、そう簡単にはやってこない。どんな結論になるにせよ、ここで悩み抜いて苦しむことが将来、指導者となった時に貴重な引き出しになる」と説明した。

 確かに今年の坂本はケガ続き。左内腹斜筋筋損傷で開幕2戦目まで欠場すると、今回は右ヒザを負傷した。負担の大きい二遊間を後進に譲り、長くプレーする道を選んでも、この状況なら不思議ではない。

 大下氏の言葉は期待の表れでもある。「坂本は常にチーム全体のことを考えてプレーしている。グラウンド上の監督と呼べる遊撃手は全球団を見渡しても坂本だけ」と指導者としての片鱗を感じているという。

 すでに坂本は遊撃として前人未到の域に達している。それだけにここからの選択には熟考が必要となりそうだ。

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