ヤクルトと昨年の日本シリーズで死闘を繰り広げたオリックスだが、今季は7月1日時点で4位と苦戦中。その原因が、リーグ最少の200得点にとどまっている攻撃力不足なのは明白だ。特に本塁打数は72試合消化時点で29本と、深刻なパワー欠乏症に罹っている。

 吉田正尚が故障に苦しんでいるのも理由だが、杉本裕太郎と吉田以外に3本塁打以上の打者が一人もいない異常事態。さらに言えば、本来攻撃の要となるべき一塁は、実に10人を先発で起用するなど、まったく固定できていない。中田ならそうした 「長打力」「一塁」という2つの要素を一度に解消でき得る。

 今季もすでに2度の二軍落ちを経験しているが、118打数で7本塁打はそこまで悪くはない。OPS.726はオリックスの一塁手なら上位にランクされる。中田にとっても、巨人で批判を浴びながら代打要員に甘んじているより、高校時代を過ごした大阪で、ファイターズ時代からの仲である中嶋聡監督の下のほうが実力を発揮しやすいはずだ。

 では、巨人は誰を獲得すればいいのか。欲しいのは左の中継ぎで、オリックスも海田智行ならば手放せそうだ。ただ中田との1対1ではネームバリュー的に釣り合わない。その点、増井なら(かつての)大物同士として申し分ない。二軍でも防御率5点台と苦しんでいる増井が、巨人の戦力になるのか? と訝しむ声もあるだろうが、ストレートの球速は150キロを超えており、交流戦でもヤクルトの強力打線を5回2失点に抑えるなど、まだ余力はありそうだ。