オコエがバットを振る手を止めた。打撃ケージ裏の原監督に「ベースから離れ過ぎていないか? 何でそこに立っているんだ?」と指摘を受け、自分の足元を見つめた。大久保打撃チーフコーチにも同様の修正ポイントを指摘され、打席のラインを踏むくらいホームベースに接近。そして、直後の第1投を自然体で豪快に振り抜いた。
 打球は一直線で左翼ポール際へ。推定135メートル弾で教えに応えた。オコエは阪神・西勇らシュートを得意とするセの投手対策で「いつもより離れて甘い球だけ打ちにいく」と考えていたが、指揮官に「内角を打てる人の打ち方をしている」と評され、考えを改めることを決意。新戦力は「今後も意識する」と語った。
 首脳陣の“メス”が入ってから打球の鋭さが増し、最終的にキャンプ初日の屋外フリー打撃は57スイングで7本のサク越え。大久保コーチは「インサイドをうまいこと打っていた。昔の佐々木誠さん(南海、西武、阪神など)並みに。(中堅の)レギュラー候補に入っちゃったよ。打撃はレギュラー」と絶賛した。
 守備力と走力を武器に定位置を狙うが、昨季2軍戦で打率3割2分7厘を記録した打撃にも魅力がある。全体練習を終えたオコエは「飛ばし過ぎないようにと思っていたけど、気持ちが前面に出過ぎちゃった」と笑顔で一日を振り返った。不退転の決意で臨む新天地での8年目。上々のスタートを切った。