初戦とこの日行われた第3戦で、ともに決勝弾。フィールドでの活躍は言わずもがなだが、因縁の相手を前にこれ以上ない存在感を放ちまくった。初戦の第1打席から耳をつんざくような大ブーイングを受けたゲレロ。昨オフ現地メディアのインタビューで「ヤンキースに行くのは死んでも嫌だ」「ヤンキースタジアムでプレーするのは好きだ。なぜならヤンキースファンをガッカリさせるのが好きだから」などと名門を刺激しつつ、ブルージェイズへの純愛を表明。それ以前にもさまざまな伏線があり、両者の溝がさらに深まった中での今季初の直接対決だった。

 ある種イベント化したように、ゲレロの打席限定で球場にこだます大ブーイング。この3連戦、全13打席で浴びせられたブーイングは異常なほどに執拗だった。それでもゲレロは名門の聖地で有言実行のパフォーマンスを連発。痛打を浴びせるたびに、ヤンキースファンが一瞬にして静まり返る「落胆の瞬間」を堪能した。昨年4月の直接対決でも1試合3発の離れ業を披露した「ヤンキースの天敵」は今年も大暴れだった。

 初戦では死球を食らい、両軍がにらみ合う不穏な場面もあったが、無事3連戦は終了。敵地でチームをカード勝ち越しに導いたゲレロは心憎い名ゼリフを連発した。「(ブーイングは)打席では全く聞こえないんだ。ホームランを打ってダイヤモンドを回る時は(自分にとっては心地よく)聞こえるんだけどね」「(ヤンキースファンは)好きにやってくれればいい。そうしたからといって、彼らが僕のホームランを奪い取ることはできないからね」。これには、取り囲んだ現地メディアから〝待ってました〟とばかりに笑い声が上がった。陰湿さを全く感じさせず、むしろ計算高く次回対戦への注目を引きつける――。かねて見せてきたエンターテイナーとしての抜群の才能だった。グラウンドでしっかり結果を残し、場外戦でも敵味方関係なくファンを楽しませる稀有な存在だ。
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