桃山学院大学経済学部教授で財政学者の吉弘憲介氏は、ふるさと納税を「未来を食べて”今”の享楽にふける」行為だと説明する。本来、子や孫、あるいは老後の自分が受けるはずだった未来への投資利益を肉や魚に変えて今食べてしまっているのだ。

「例えば我々が使っている道路や橋などのインフラ、部分的には電気事業など公益事業にも税は利用されています。ふるさと納税がそうした社会の屋台骨をすぐに崩すことはありませんが、このまま拡大していくと、ボディーブローのようにダメージを与えていくでしょう」(吉弘教授)

ふるさと納税に支払った金額のおよそ半分が返礼品やコストとして消えてしまうことはあまり知られていない。

「ふるさと納税によって、本来税収になるはずだった額の3割が返礼品に使われ、2割はコストに消えています。2021年はふるさと納税の寄付額が8000億円を超えたので、半分の4000億円が本来使われるはずだった公共サービス以外のものに使用されたということです」(吉弘教授)