グラフをみると、韓国の貧困率が継続して改善傾向にあることがわかる。これは、日本の生活保護制度にあたる「国民基礎生活保障制度」を利用しやすくし、最低賃金を大幅に引き上げるなどの再分配政策に取り組んだ成果といえる(金明中「韓国における所得格差の現状と分配政策:新しい尹政権の「選択的福祉」政策は所得格差を解消できるだろうか」)。

また、米国の貧困率は20年から急速に改善し、韓国を追い抜いている。もっとも貧困率の改善は、コロナ対策による生活保障の貧困削減効果が大きく、その対策は一過性、または期限付きで、インフレが高まるなかで、その効果も急速に薄れているとの指摘もある(木下武徳「アメリカにおけるコロナ禍の低所得層への経済給付:公的扶助を中心に」)。

これに対して、日本の貧困率は18年に15.7%の表記があるのみである。貧困率の推移をみることさえできない。先に紹介した図表1をよく見ると、18年より前と後でグラフが分断されていることに気づく。これは、日本にはOECD基準で計算した17年以前のデータが存在しないためである。
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