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『紅白』落選に悔しがる、その経験自体がすでに財産
ただ、いくら昔ほど「『紅白』=夢の到達点」の空気感が薄れているとはいえ、アイドル自身が落選を悔やんでいれば、応援してあげたいのがファンである。だけど悔しがれることがあるって、活動する上でなんて幸せなことだろう、と思うのだ。
48グループのように10年以上の歴史があり、メンバー数も多く入れ替わりが頻繁だと、新しく加入した場合は初めから非常に恵まれた環境で活動することになる。
逆に言うとそれは、小さなライブハウスからだんだん箱が大きくなったり、用意された衣装やグッズが徐々に立派なものになっていったり、という喜びを知らないままということになる。たとえどんなアリーナやスタジアムでライブをしても「自分たちの足でここまで辿り着いた」という実感はないだろう。
「悔しい」と思えるのは、それだけ今年の活動に手応えがあったから。胸を張れるだけのパフォーマンスができたから。それは多分、真価に気づかないまま大きなステージに立ちつづけるよりもずっと幸せな経験だと思う。
彼女たちがいつかアイドル活動を振り返ったとき、思い出して糧になるのはきっと、涙をのんだ2021年ではないだろうか。