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 しかし、子役は大人以上に生き残るのが困難な世界――。しかも、紗里奈は顔が幼いのにどんどん身長が伸びてしまったのだ。撮影する側にし
たら使いづらくなってしまう。あくまで子役は「幼くて小さい」のが第一条件なのだから。次第にドラマなどへの出演の機会は減り、所属プロダ
クションを変えながら、モデルの仕事にシフトしはじめる。
 
 地下アイドルを始めるも、稼げず、パパ活

 高校は芸能コースのある学校に進学した。同期には現在放送中のドラマにも出演している女優がいるが、「その子くらいであとはみんな売れま
せんでしたね」

 その頃、当時の事務所の企画で、アイドルグループに所属することになった。

「AKB48が出始めの頃で、色んなアイドルグループが誕生し始めていた時でした。私も地下アイドルのセンターの仕事が決まったんです。でも、
本当は嫌で嫌で……」

 たとえ小さなグループでも、センターになりたくて整形を繰り返している女の子も大勢いる。はじめ彼女の不満はなかなか理解できなかったが、

「だって『地下』ですよ。いくら頑張ったってどうせメジャーには上がれないじゃないですか」

 子役時代から売れずにくすぶり続けていた“先輩”たちを見てきて、業界の現実を知っている彼女ならではの言葉なのかもしれない。

 とはいえ、不満を抱えつつも紗里奈はアイドルとしての活動を続けた。「レッスン代」「衣装代」の名目で所属タレントから搾取する悪徳事務
所もあるなか、彼女のところはそうではなかったというから、地下アイドルとしては恵まれていたといえるかもしれない。しかし、多感な年頃で
お小遣いが欲しかった。とはいえレッスンとステージで忙しく、アルバイトをする余裕もあまりない。

「ライブに来てくれたお客さんと有料チェキ(写真)を撮ると、その何割かは私の元に入ってくるんです。でも、1枚300円とかですよ。1ヶ月の
最高額で1万円に達したことはなかったですね。何度かグループも変わって、一時期はオリコンランキングに顔を出すくらい売れたりもしたんで
すけれど……。やっぱり洋服とか欲しいものあったし、ライブの後の打ち上げで遊ぶお金も欲しかった。それで今で言う『パパ活』をしていまし
た。携帯は他の子よりも早い時期に持ってたんで、アプリ使って。あ、でも、私だけじゃなくて周りの子にやってる子が多かったから」

 最初は「一緒にお茶」だけで5000円。「JK」のブランドで男性は群がってきた。しかし中には。

「この後、ホテルで1万円でどう? とか言ってくるオヤジ、すっごい多かったですね。なんでお茶、食事を一緒にするだけで5000円なのに、ホ
テルで1万円って……めっちゃ引いた」

 だが、だんだんと紗里奈もホテルに行くようになる。初体験は16歳の時、相手は同級生で「やってみる?」と好奇心で済ませていた。

「ホテルに行ったときにもらったのは、最高で5万円でした。なのに『次は2万円で良い』とか言ってくるんです。もちろん、2度と会わない。ブ
ロックですよ。まぁ、『この人良いなぁ』って思っても2回目は全くなかったですね」

 ときどきパパ活でお小遣いを稼ぎつつ、高校に通いながら地下アイドルもつづけた。じつは年上のファンと付き合ってもいたそうだ。

「おじさんばっかりのファンのなかで、その人は若かったから(笑)。3、4年付き合いましたよ。あっちは会社員で一人暮らしだったけど、同棲
するとかは全くなく。私、実家が好きなんで」