――誰が「呼びに行こう」と言い出したんですか?

斉藤 というよりは、様子を見に行こうという感じでした。あわよくばリハに連れていけたらいいなと思って。
珠理奈さんがいたのはナゴヤドームの舞台裏にある、6畳くらいの小部屋でした。コンクリートばりの色のない部屋の隅で、珠理奈さんは一人で泣きじゃくっていました。
メンバーみんなで珠理奈さんを迎えに行ったけど、その部屋に全員入ることは無理なので、5~6人でその小部屋に入りました。周りを囲んで、珠理奈さんの話を聞きました。
でも、「悔しい」とか「なんでSKE48はいつも……」という言葉しか出てこない。「うん、うん。そうですよね」と話を聞くことしかできませんでした。
後輩たちも後ろから眺めていたと思うけど、あんなに弱々しい珠理奈さんの姿を見るのは初めてだったはずです。きっとショックだったでしょう。
後輩が知っている珠理奈さんは、いつも前で元気にグループを引っ張っている姿ですから。「見てはいけないものを見ちゃった……」という心境だったはずです。SKE48として活動することに不安を感じたメンバーもいたかもしれません。