-スリーホワイトシスターズ 番外編-


豪雪で有名な辺境地域に初夏が訪れる

その地域で採れる農産物を害獣の食害から守るために
箱罠が多数設置されるのも風景の一部として辺境の住民はとうに見慣れている

そんな特に珍しくもない景色の中、獣とも機械音とも区別の付かない音が聞こえる一角

お腹を空かした菅原が箱罠の餌のさくらんぼを自分へのおやつと思い罠に掛かり

何とか出ようとして鳴きながら罠の格子に必死に噛み付いているのであった

菅原「たすけてー、たすけてー、あかないよー、あかないよー、ガジガジガジガジガジガジ」

菅原の異変に気が付いた長谷川がうさぎ跳びで百メートル10秒の速さで駆け付ける

長谷川「りこ、ぽんが来たから大丈夫だよ、いつまでも罠を噛まないの、口が血だらけだよ、罠の一番奥に居てね、壊すから」

長谷川が何処にこんな長い物を仕舞って居たのか全く分からないがパンツの中から愛用の虎徹を取り出す

遠目に見ても虎徹が何となく濡れているのを見てみぬ振りが武士の情けと目を背ける菅原

いつもならば長谷川の1打で粉砕される箱罠が今回は傷ひとつ付かずに

長谷川の虎徹を握る手に叩き付けた反動の衝撃の痺れを虚しく残すばかり

長谷川「あれえ、おかしいなぁ、何でこんなに頑丈なんだ?、何処製の箱罠かしら?」

箱罠のメーカーは書いていなかったが超合金NGT製の1文を見た長谷川が

これが獣用の罠ではなくて対スリーホワイトシスターズ専用の罠だと気が付き焦り始める

その時であった、気の触れたような高笑いと共に、紫色の異形の装束に身を包んだ女が現れた

山口「食い気と色気でピンチピンチの憐れな少女たち、いや成年だから、少女は無いな、まあ、とにかく、ショコラの魔法少女推参」

己も既に成人して、しかも長谷川と菅原よりも歳上なのは無視してショコラの魔法少女が言う

山口「ところで、長谷川に菅原、ここまで来るのにかなりの魔力と体力を消費したので、お腹も空いたから、帰りは魔法は使わないで帰るから足代と顎代は弾んでよニヤリ」

長谷川と菅原「山口姐さんにはいつも世話になりっぱなしですから、喜んでペコペコペコペコ」

こうして悪い辺境住民の罠から逃れられた菅原と長谷川から三桁に近い萬円を貰い

足代を浮かすために帰りは都まで歩いて帰る山口であった

しかし山口の帰途道中の異形を目撃した住民の間で、高笑いの紫婆の都市伝説として、語り継がれるとは夢にも思わぬのであった

豪雪辺境地域の某所では、またショコラの魔法少女の為に、スリーホワイトシスターズを削ぐ計画が失敗した事を呪う言葉が吐かれた

この物語はフィクションです
登場する地名、団体名、人名などは全て架空の存在です


んてことー