-スリーホワイトシスターズ物語 なべてこの世は事も無し編-


過去から現在そして未来でも地図に載らず、辺りの景色も茜に染まったままで変わらない為に、時刻すらも分からぬ場所にある
黒い建物の門に大小の人形の影が幾つか進んでいく

その建物の門番は黒いフード付き衣装と仮面を被り
訪ねて来た影を1人ずつ改めては通行を許可しているが
門番と影のどちらからも応対の声1つすら聞こえて来ない

影が向かうのは高さ数メートルを超える書架が、数えきれぬほど有る大広間の片隅の一室だった

中に入ると片隅の一室とは思えぬほどの、小さな体育館なら1つ2つは収まる程の高さと広さの部屋であり、家具や窓や室外に在るような書架すら見当たらない

先に来て待っている影Aが後から来た影に声を掛ける

影A「そちらから、定例会以外の会合を持ちたいと願い出た割には、遅い到着だな」

幾分に皮肉を交えて影Aが訪ねて来た影に呼び掛ける、まぎらわしいので後から来た影を影Bとしよう

影A「待たされたので余計な挨拶は抜きで始めさせて貰うよ、さあ、かけたまえ」

影Aが手を差し向けた先に最初から在ったかのようにテーブルと椅子が現れた

影Bとその連れが静かに椅子に腰掛ける

影B「待たせたのは申し訳なかったが、今回は君にも責任が無い事もないだろう?」

影Aも椅子に腰掛けると何処に居たのかも分からない影Aの連れが同時に腰掛ける

影A「もちろん、私も知りませんでしで済まないのは承知している、だからこうして図書館司書の責任者の1人として、君の緊急の会合要請にも応じている、改めて移動式図書館司書の責任者の君から聞かせて貰おうか」

影Aに改めて遅参のお詫びを告げてから影Bも本題に入る

影B「問題は1つだけだよ、アカシックレコードを読み取り、過去、現在、未来に起きる事象を図書館に記録するのが我々、司書の役目だ、しかし、司書の資格を持たぬ者が強大な魔力に物を言わせて、介入禁止のアカシックレコードを改竄しようと試み、その結果は失敗したとはいえ、その影響が僅かでは有るが確認されている、私が遅れたのはオリジナルアカシックレコードを元に修繕をしたが、それが上手く行っているのかどうかの、確認する時間が欲しかったからだ」

影Bの話しを聞いて影Aが答える

影A「僕は、最初はこの件は本館図書館司書と移動式図書館司書の担当者同士だけで決めるのは、如何なものかと思っていたが、件の紫の魔女の成長振りを見ると図書館全体会議に掛ける迄もないと思うよ」


続く





んてことー