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続き

Sはセイロー産さくらんぼの身を心配する、YとHの焦燥する様子には全く無頓着に二人を隣の部屋に案内する

S「あのねー、こんかいわねー、ちょっとさくらんぼのりょうがおおくてねー、テーブルにおききれないからー、こちらのへやにぜんぶおいたから、きてー」

Sの返答を聞き、それでも貴重なセイロー産さくらんぼを諦めきれない二人は恐る恐る部屋に入り

床にいっぱい並べられた、さくらんぼ料理を前にして腰が抜けたように座り込む

Y「な、な、な、何をどうしたら、生のまま、精々塩を少し振るくらいで白ワインと合わせて食べると、甘露過ぎて止まらないセイロー産さくらんぼが、こんなに見る影もなくなるのよっ」

Hも目の前の光景に衝撃を受け過ぎており、いつもなら己の胎内から取り出した
タイエキで濡れ濡れの愛用バットの虎徹で、Sをど突き倒す事すら出来ずに座り込んで罵倒するのが精一杯

H「す、す、す、Sー、あんた馬鹿なのー、こんな無惨な姿の可哀想な、セイロー産さくらんぼに死んで詫びなさいーーーっ」

腰を抜かしながらもYとHが本気でSを罵倒し続けるので

流石のSも二人を怒らせた事だけは理解して、おろおろと泣きべそをかきはじめる

S「ごめんなさいー、ごめんなさいー、Sのさくらんぼりょうりが、くちにあいそうもなかったのかなー、がんばってつくったけど、ごめんなさいー、ごめんなさいー、ごめんなさいー」

その時、隣の部屋から1人のしゅっとした青年が現れて声を掛けてきた

青年「こんにちはYさん、Hさん、初めまして、僕はSの友人の〇〇と言います、お取り込み中みたいですが、Sに悪気だけは無いのはどうか分かって頂けませんか」

青年はめそめそしているSに僕が何とかするから、君はさくらんぼ料理が勿体無いから先に食べていなさいと薦める

青年はSが泣くのを止めてさくらんぼ料理を食べるのに夢中になるのを見てから
YとHが最初に現れた隣の部屋で話しましょうかと、YとHのそれぞれに手を貸して立たせてあげる

昔に男に顔面まで掴まれたYと違い、Hは男免疫力がかなり弱い上に、自分が下着姿だと改めて気が付きキョドり出す

青年はそんなHに何処からともなくローブを取り出して、その身に掛ける様に言う

Y「あなた、今まで見た時のない顔だけど、Sからはあなたの事は聞いてないわね、もしかしてSと付き合ってるの?、それに、さっき急に隣の部屋から出てきたけどSと同棲でもしてるの?」

青年は笑いながら自分はSと同じセイローシティー産まれで単なる幼なじみですと自己紹介をし

今日もセイロー産さくらんぼ料理をSがご馳走してくれると言うのでセイローシティーから来ましたと答える

青年「本当に申し訳ありませんでした、本当にSに悪気が無いことだけは、どうかご理解願えますか、一番の責任は僕に有るんです、
以前に彼女が作ってくれたセイロー産さくらんぼ料理が、とても美味いとお世辞で言ったのをどうやら覚えていたみたいで」

Yは青年の真摯な態度と元々はS宛のセイロー産さくらんぼのご相伴に預かりに来たので

こちらこそ偉そうな事は言えないのですがと断りながら

Y「セイロー産さくらんぼは生に限ると私たちは思うのです、たいへんに貴重な逸品ですので、どうかSにも改めて説明をして貰えませんか」



続く