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続き

タイナイシティーの鰐の会のHの自宅では深夜に連絡も無く突然に娘のHがアルコール漬けの瓶から出て来たような
火を点けたら燃えそうな濃いアルコール臭を発散させながら
据わった目で静かに自室に消えて行くのを、物音で起きてきた家族ですら怖すぎて、声をかける事も出来ずに見送っていた

Hは哭いていた、女哭きに哭いていた、ひたすらに身も世もないと哭いていた
Oから2対2のウキウキ合コンよと先に言われていた、二人ともタイプならHに譲るわよとまで言われていた

遅刻しないように光速ウサギ跳びでかいた汗や他の秘密の花園汁を
Oに合流前に寄ったトイレで徹底的に専用の拭き取りシートで吹き、臭い対策は万全

それから代えの勝負服(花魁ではない)と勝負下着に着替えて
靴まで動き易さ優先ではないハイヒールに履き替えて、本気のお化粧までして望んだ夢の合コン

今となっては思い出したくもない悪夢の合コン
Oを二人のイケメンが奪い合うのをを1人見せられ続ける合コン
Hが何とか三人の会話に入れたのも合コンを開始して5分くらいまでだろうか
それでもOはイケメン二人がHにも関心を持つように話を振り続けてくれたが全く拡がらず繋がらず

どうやらイケメン二人がHを邪魔に思い始めたのか分からないが

Hちゃんはお酒強いねー、可愛いねーと訳の分からない誉め言葉と一緒に
度数の高いお酒を氷も入れずに水でも割らずに、次から次へと空いたグラスに交代で注いでくるのは
わたしを潰すためだよね、潰したら、もちろんお持ち帰りだよね、と信じたいが会話の中心はわたしに申し訳なさそうな顔をたまに見せるOばかり

一次会が終わり、あまりHを一緒に誘う気がなさそうなイケメン二人が、OのついでみたいにHを二次会に誘ってきたのを
わたし明日早いから帰らないとと三人にお別れの挨拶をすると、Oには事前にオールでオッケーと答えていたので
Oが更に気まずそうな顔でそうかー、残念ねー、また次に集まろうよと、両手を合わせて謝ってくる、しかしこのイケメンらと次は絶対に無いのも分かっている、賢いHに花丸だー、笑っちゃうぞー

Oは悪くないよー、そうだよOはぜんぜん悪くないよー、でも今のわたしの顔は見ないでね、決して見ないでね、わたしも見たくないから見ないでね

その後は何処をどう歩いたのかは分からないが、コインロッカーに置いていた荷物は自室に全部あるし

衣服も特に乱れも汚れもないし、光速ウサギ跳びみたいな過負荷には耐えられないハイヒールも玄関に綺麗に揃えて置いてあった

だがよく聞く例えの滝のような涙の通りでお化粧は綺麗に落ちていた
どうやら哭きながら手で涙をコソゲ落としながら帰宅したようだった


続く