>>68
続き

妖しとしての能力を限界以上に使いSを危難から救出した為に、青年は人間で言えば死にかけていた

しかし女ボスWの女部下のドーピング強化娘らから逃げるにあたり
Sの身体能力も限界以上に強引に引き出す必要があった為

Sもまた安らかな涎まみれの寝顔とは裏腹に衰弱しきっていた

そんな衰弱したSに青年が回復の為に同化してしまえば、Sの命が危ういのを青年は分かっていた

このまま、もう暫くの間はSの生命力はSの回復の為だけに集中させておき

青年が同化しても耐えられるくらいに回復するまで待つつもりなのだ

例えSの回復が間に合わずに己が元の無に帰すとも、最期までSを護るのが務めであり幸せであると思いながら

青年はSの耳障りなイビキと歯ぎしりを子守唄代わりに床に座り壁に凭れたまま微睡みに落ちていった

青年「Yさん、Hさん、Sの事をよろしくお願いします」

その呟きを最後に青年もまたSと同様に眠りに入る

青年がまたSに逢えるかどうかは、まだ誰にも分からないのだった



続く