>>19
続き


Sの不幸はAちゃんに付いて全く知らないこと、そしてそれはAちゃんの不幸もまた、Sに付いて全く知らないことで初対面の不幸が拡大していくのが止まらない

Aちゃんが怒髪天状態と見てとれば急いで楽屋から出て行くことで、Aちゃんの怒りは悪口雑言罵詈雑言に代わりやがて沈静化するのだが

ここでSは退室するどころかスリーホワイトシスターズの姉妹喧嘩の仲直りの儀をやろうと最大の判断ミスを犯す

スリーホワイトシスターズ仲直りの儀などとふざけて名付けたのは、KO会の地下室の住人で最弱にして最強の魔法使いYと、鰐の会の花魁の悪魔にして不死身の身体を持つと言われるHだった

これは二人が喧嘩をしてしまいだんだんエスカレートしそうな物騒な時に、何を思ったのかSが口に大量に含んだ飲み物や果物や食べ物を
二人に無理矢理に飲み込ませようと口移しに迫ってきたのに辟易して、分かった分かった喧嘩は終了と宣言したのが名付けの理由である

YとHの二人共にSのこと友として大好きだが緊急時以外の口移しは勘弁して欲しいので
さっさと喧嘩を停戦しているだけなのを、どうやらSは仲直りに有効な方法と誤解してしまった節がある

話しはAちゃんの楽屋に戻るが、Aちゃんが逃げる気配も無いSの頭を本気でかち割るために掴みかかると
その動きに合わせる様に、マスカット葡萄の実を大量に口に含んだSもまたAちゃんに踊りかかる

こうしてAちゃんはSの頭をかち割る為にSの頭を両手でガッシリと掴み
SはSでAちゃんに口内のマスカット葡萄の実を口移しせんとAちゃんの頭を掴んで口付けせんと顔をぐいぐい寄せていく

Sはスリーホワイトシスターズで最弱と云えども、本気で力を出せば軽く百人力を超える怪力の持ち主である
また、そんなSと互角の力比べが出来るAちゃんもまた白痴美顔の名に相応しい凛々しい美丈夫である

力が互角の為の膠着状態に焦れたAちゃんが、SがAちゃんの頭を引き寄せる力を利用して頭突きをかまそうとしたが
それを待っていたかの様に、Sの唇がAちゃんの唇に第三種接近遭遇を果たさんとしてきたので
Aちゃんが距離を取る為にSの頭を押し返しながら頭蓋骨ごと押し潰そうとするべく気合いを入れ直す

互角の力比べはやがて頭を抱き合う二人が口付け(本当は数ミリ離れた寸止め)しながら独楽の様にくるくる回る動きまで加わってきた

続く