風営法違反で摘発されても、「コンセプトカフェ」の出店が止まらないウラ事情

「コンセプトカフェ」とは、制服やメイド、男装など何らかのテーマに沿った女性店員が接客するカフェのことで、秋葉原を中心に都心部で激増した。新型コロナウイルスの流行もものともせず、全国で通称“コンカフェ”が見られるようになってから数年がたつ。

意外と知らない料金体系
まずは、コンセプトカフェの仕組みから解説したい。多くの店では、1時間ごとにチャージ料金が取られる。そして、指定の飲み物は飲み放題となる。シャンパンなど、一部の高級飲料は別料金。そして、女性店員の飲み物が、別途請求される。

ここまで聞いて「キャバクラやガールズバーと、何が違うのか」と感じられた方もいるだろう。そう、コンセプトカフェはガールズバーとさして変わらない。だが、カフェと名乗ることで、風営法の規制を逃れて営業できる。そのため、時間によっては高校生の勤務まで可能である。

さらに、「水商売には物件を貸したくない」と考えるビルオーナーは多いが、カフェ形態であれば審査が通りやすい。こういった事情から、コンセプトカフェの出店は総合的に負担が少ない。出店側としては「カフェ」と名乗ることに大きなメリットがあるわけだ。

さらに、コンセプトカフェは女性の時給も安くてよい。ガールズバーでは、最低時給2500円程度を支払わなければ、女性が集まらない。それに対して、コンセプトカフェの時給は筆者が調べた限り、1800円程度からでも求人があった。

・コンカフェであれば可愛い制服を着られる
・お客様から触られたり、性的な会話をしたりする義務がない
・普通のカフェに比べて時給も高く、指名のバックもあるのでキャバクラ並に稼げる

というわけで、女性の応募も多いのである。

―このお店で働く前から、コンセプトカフェのことは知っていましたか。

「知ってました。友達が働いていたんですよね。それで楽しそうだと思って、自分でも応募してみたんです。変なお客さんもいないし、シフトも相談しやすいし、すごく働きやすいです」

――変な質問で申し訳ないんですが、お金は何に使ってます?

「うーん。生活費かな。普通に暮らしてます。コンカフェだと、お客さんからの差し入れでご飯も食べられるし、女の子同士でお土産持ってきたりするから、結構ご飯代が浮いて助かりますね」

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――コンカフェ店員になる前は、どんなバイトをしていたんですか?

「普通の飲食です。でも、コロナで経営が厳しくなっちゃって。それで飲食の求人探してたら、コンカフェがあったんですよね。家のそばで通いやすかったし、シフトも自由だったからすごくいいなって思って」

……と、このように働く動機も水商売のそれとは大きく異なる。何より、コンセプトカフェはコロナ禍で仕事にあぶれた女性たちに、職を補填した「救い」の面を持っているわけだ。

従業員の意識も、営業形態も果てしなくグレーなコンセプトカフェの現状だが、今後はおそらく風営法の規制対象になっていくであろう。コンセプトカフェはコロナ禍に咲いた、いっときの徒花になるかもしれない。