続き 

「さあ、君の好きなピンクシャーベットです。心行くまで味わいなさい」

刑場となるその一室でワシは最後の茶果を振る舞われた
その後連れて行かれた前室は仏壇が安置され、カーテンで仕切られ、冷たい空気が張り詰めていた
そこにいた刑務所長、執行役員、立ち会いの刑務官一同の他に見たことのない教誨師がいた
あまりのキチガイさゆえに担当していた教誨師にすら見放されていたワシを哀れに思ったのだろう、刑務所長の計らいで急遽教誨師を連れてきていたのだ

「どうしてもガラパゴス君を彼岸に送りたいと仰っているのですよ」

その教誨師は妙齢で美しい、髪を束ねた尼僧だった

「ではこれより、気持ち悪いガラパゴスでもお浄土に旅立てますよう、お念仏を唱えさせていただきます。なまんだぶ、なまんだぶ…」

その声を聞いて愕然となった
その顔を見て愕然となった

声も顔も、ワシが中傷で苦しめたあの女瓜二つだったのだ
ワシはこれから刑場の露と消える
恐怖と錯乱状態ゆえに感じる他人の空似だろうか
それにしてもあの女に瓜二つだ

「いだいぁああああああああああああああああああああ、たすけ、たしけてぁああああああああああああああああああああああああああああ、たしけて、くださいぁああああああああああああああああ、七菜ちゃん、梨奈ちゃん、セーラーサターン、プリキュアたすけてああああああああああああああああ」

美しい声の読経と抹香の香りの中、ワシは愛する者の名前を叫びながらその場で取り乱した


続く