知県警 裁判途中で「サイレンは鳴っていなかった」と認める…パトカーとの事故で後遺症負ったという男性に約385万円の支払い命令
10/7(金) 21:33配信
CBCテレビ

パトカーとの事故で後遺症を負ったとして、男性が愛知県に損害賠償を求めていた裁判で、名古屋地裁は愛知県におよそ385万円を支払うよう命じました。

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判決などによりますと、名古屋市の40代の男性はおととし4月、ワゴン車を運転中、名古屋市天白区の交差点でパトカーと出合い頭に衝突しました。

パトカーは赤信号で交差点に入り、愛知県側は当初、サイレンを鳴らしていたと主張していましたが、証拠として提出されたドライブレコーダーにはサイレンの音は録音されておらず、裁判の途中で「サイレンが鳴っていなかった」ことを認めました。

5日の判決で西尾太一裁判官は、「正確な記憶に基づかずにサイレンを鳴らしていたと主張したのは極めて遺憾」と批判し、男性におよそ385万円を支払うよう命じました。

愛知県警の伊勢村政明監察官室長は「判決内容を検討した結果、控訴いたします」とコメントしています。

前田恒彦

10/7(金) 22:54
元特捜部主任検事

この衝突事故はワゴン車が青信号、パトカーが赤信号で交差点に進入して生じたものです。「信頼の原則」と呼ばれるルールからすると、ワゴン車の男性はパトカーの不適切な行動で生じた事故の責任を負う必要などありません。

しかし愛知県警は、パトカーは赤色灯を点灯させ、サイレンも鳴らして走行しており、気づかなかった男性にも過失があると主張していました。県警が示した証拠はパトカーのドラレコ映像と運転していた警察官の供述でした。

ところがこの映像には肝心の音声がないなど不審な点がみられ、裁判所から説明を求められた結果、ようやく県警はサイレンを鳴らしていなかったと認めるに至りました。

裁判所は県警の対応を批判していますが、「正確な記憶に基づかない主張で極めて遺憾」と述べるにとどまっています。むしろ、当初から鳴らしていないと分かっていたのに、組織ぐるみで嘘をついていた疑いもある事案ではないでしょうか。