続き


「っあぁつあ”っぎゃぐア”ア”ア”ア”ア”あああッッーー!!!!!!!!!!!!」

踏板が外れて吊るされたその瞬間、ワシの首に巻き付いた絞縄に凄まじい力がかかり、ワシの首は締め上がる
自分の首からメリメリメリメリ、という異音がしている
視界が赤い
どうやら血涙が出てきているようだ
耳もとがやけに生温い
どうやら血が流れているようだ
いやこれはワシの脳みそかもしれない
このネズミよりも少ない脳みそで、ワシは悪事悪態の数々を書き連ねてきたのだ
鼻血も出ている、さらに股間と尻も濡れている
ショックで糞尿も垂れ流し、見るも無残なようだ

ージゴクヘオチロー
ージゴクヘオチロー

あの女の声が聞こえる
その中に混ざってワシとよく似た声の断末魔も聞こえてくる

「みれいたん、可愛い、ボケ、gyぎゃ、ボげ、ボケ—ーーー!!!!首の骨ああああああああああああああああああああ」

あれはワシの別人格ではないか、そしてまた一つ声が聞こえる

「注射ごわ、ごわいぁあああああああああああああ、いたいいいいいいいいいいいいいいいいいい、カナザワジンあああああああああああああ死にたくないぁあああああああああああああああああああああ」

そうだ、あれはオヤコロだ、ワシも随分と自作自演を繰り返したのだな
びくん、びくんと跳ねる身体も落ち着いたようだ

薄れていく意識の中、ワシは――――――――――――――――


――――――――――――――――ッッ!!


目が覚めるとボロ家の汚部屋の天井だった
時計を見ると朝五時五十五分、裸電球がぶら下がっていた
そうだ、これはただの夢だ、夢だったのだ
ワシはいつものようにガラケーを手に取り、憎たらしいあの女達への中傷を込めた名作小説を書こうとした

その時だった

不意にドアがけたたましく鳴り、血相を変えた老母がワシの部屋にやってきた

ワシは身震いがした

恐る恐る玄関に出ると、そこには逮捕令状と銀に光る輪を携えた警官たちがいた

「午前六時、被疑者身柄確保」

これは夢ではなかったのだ
夢であったとしても、正夢だったのだ
これからワシは、この夢と同じ出来事を経験するのだ
これから始まる地獄の日々に、ワシは絶叫した



おわり