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車は海水浴に向いてそうな美しい白砂が広がる浜辺や
潮に強い雑木がみっしりと生えている低い丘を左手に見て通り過ぎながらのんびりと進む

若い娘の説明では島は本土と違って人口がとても少ないので、交通整理の信号がほとんど無いんですよと言う通り
これまでに一回も信号に止められないし他に人影も見当たらない

島の人は内陸部に有る平野部に住居を構えていて
そこから学校や職場に通うんです

みんなのんびりしている島時間で暮らしているので、好きな時に好きなだけ海や山や川や湖で遊べますね

ただ島の内陸部の平野部を除いた人通りが少ない場所には街灯がほとんど無いので
お客さんたちが夜に海や山を散策するつもりならば懐中電灯は必要ですね

空がずっと晴れていれば星明かりに月明かりで夜でもそれなりに足元が見えますが
急に曇ったり、場所によると光が届きにくい場所も有りますから、念のために宿泊先から借りて行くと良いですよと付け加える

島は結構に広いので快適に暮らすには車かバイク、せめて自転車は必要ですよと話しながら

今度は海岸線を逸れて雑木林ばかり生えている
整備は行き届いているが見通しの悪い舗装路に進路を変えていく

若い娘「もっとお時間が有れば、もう少し海岸線沿いを走って綺麗な海を見て貰いたいところですけど、あんまり遅れると宿泊先に悪いので、そろそろ宿泊先に向かいますね」

そんな若い娘の案内も聞かずにゲストシートのSとHは朝が早かったせいか
スースーと眠りこけているが二人揃って変な夢でも見ているのか
寝言で二人で会話の様な事を呟いている

Sがもうこれ以上は秘密の花園に入らないもん、もう痛いから嫌だと断ると
HがSは下の口は少食ね、もっと頑張らないと好きな男に捨てられるわよと答えるのをさっきからずっと繰り返している


Yはこの二人だけは平和ねと染々と思いながら、宿泊先に着くまでに若い娘に訊いておきたい質問をする

先ほどの案内所の職員に同じことを訊いたが、どうも上手くはぐらかされたような感じがしてならないからである

Yが案内書に簡単に書いてある秘祭の黄金仏祭りの事をもう少し知りたいんだけどと若い娘に尋ねる