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その日もYが外仕事を終えてKO事務所の地下の自室にとぼとぼと歩いて帰ってきた

何となくYに精気が乏しく見えるのは社長が代わってしばらく経つと
Y用の利幅の大きな物販を減らされて収入が大きく落ちてきてしまい
今では馴れない外仕事だけが収入源だからである

実は今のYは以前稼いだ美しき蒼きバナナの販売の儲けなどの貯金を少しずつ崩しては生活費に当てているのだった

最近はマネージャーからのオーディションの紹介もほとんど無く
若い先輩の送迎車の運転手やら荷物係までして稼いでいる

頼みの綱のファンクラブ活動も以前程にはYの懐を潤すには程遠くなったのは
ファンクラブ活動自体が縮小され始めたのでお得意のファンクラブ用の営業企画も必要とされなくなったからである

Yはこれまで姉貴風を吹かし過ぎて鰐の会のHとマックス馬鹿浦の会のSに気前良くお小遣いを上げ過たのも財布に痛いわねと今は思わないでもないではあったが
HとSが小遣いを貰う時に浮かべる下卑た笑みと、これでもかと腰を低くしてくる卑屈な態度を見るのが、好きで好きで好きで、ついついついついついついお小遣いを上げていたのだ

それに今日は肉体的には疲れたとはいえども、イベント会場での着ぐるみショーの中の人をこなしてきて
久しぶりに生の観客の声援を聞けたのでまあまあ満足ではある

着ぐるみ越しにYの背中や腹をガシガシ叩いてくる子供らには
女に乱暴したら不幸に成るから後悔しなさいとショコラの魔法を例外なくかけてきたので
アノ糞ガキどもは今夜は例外なく悪夢にうなされて糞小便を漏らして親に叱られるわねとニラニラしている

そんなYが先ずは部屋で軽く寛いでから風呂にでも入るかと思いながら地下室のドアの鍵を開けて入ると

いつもYが座っている部屋の突き当たりに在るソファーに誰かが、いや少女が座っている

それだけではないショコラの魔法の恒常性維持で、地下室ゆえに窓が無く性能の悪い換気ダクトしかないのにも関わらず、最適な温度と湿度を維持し空気清浄までされている筈の室内に異臭までする

Yが不在でも自室はショコラの魔法の結界で守られているので、この異臭の原因もまたYに全く気付かせずに結界をすり抜けた少女によるものか?!

驚いてまだ固まったままのYに向かい当の少女が声をかけてきた

7「7だよ、7が下等生物の、Yに逢いに来たよ」と和やかな挨拶をYにしてくる

一見すると固まったままに見えるYではあったが、その実は脳内で既に自室内限定で
どれだけ強力で凶悪な魔法攻撃が可能かと幾百幾千との組み合わせ済みで、あとは発動させるだけであった

そんな闘志に満ちたYがこれ以上は敵に隙を与えた筈もないのに、いつのまにかYの眼前に7が来て居るではないか!?

そして部屋に入った瞬間に感じた異臭があのYにすら耐えられなくなるほど強い激臭に変わる

黒い炭団をはめたような大きな穴にも見えるキラキラと自ら不気味に輝る目で7はYを見詰めながら親しげに話しかけてきた

7「あのね、あのね、あのね、7は〇〇の作ってくれた美味しいお弁当を食べたらね、7はすごく、うんちしたくしたくてしたくて我慢出来なくて、この建物の構造もよく分からないから、あそこに座ったままうんちしたのね、だから下等生物のYに7の体とお洋服を洗って欲しいのね、早くしてね」

その瞬間であった、Yの最後の理性が消え去り、自室内限定の超破壊魔法を止めにして、太陽系すら消えてしまえと全身全霊の魔力を振り絞り超超超破壊魔法を発動させたのは