>>81
7と2人で何とか無事に遅昼飯を済ましてから、駅前のタクシー乗り場に行くと丁度タクシーが駅まで客を送り待機場所に並ぶところであった

食堂で7にはトイレを済まさせているので、何かを食わせて食事の延長と云うことにして
排泄のタイミングを誤魔化す必要が無いのでタクシーの中では7は下品に口の中でクチャクチャ音をたてることもなく
初めてのタクシーの窓からの景色をキョロキョロと眺めている

そういえば電車内ではずっと7には柿ピーをしゃぶらせていたので
7は電車の車窓から見える景色には何の関心も示さずに口内の食べ物を齧らずにしゃぶる事にだけに集中していたのだった

何の意味も無い事もテキトーな理由を付ければ素直に守るのが7の有難い点ではある

私には何がそんなに楽しいのか分からないが
7はタクシーの車窓から見える景色に釘付けで仕切りにぶつぶつと○○(これは私の名前)凄いね、○○凄いね、○○凄いねと小さく繰り返している

私は取り敢えず7を誉めて煽てて躾るために7は大人しくて良い子だねとだけ返しておく

タクシーはやがて宿泊先の・□館の玄関前に付いたので運転手に料金を払い
7を連れて降りて、みすぼらしくはないが立派でもない建物に入る

フロントで予約していた◯◯ですと告げて宿泊手続きを済ませる時に
再度、宿泊者が1名増えて予約内容を変更していることが伝わっているのか確認をすると
受け付け係りはハイ、承っております、客室係の者がお部屋にご案内しますと言う

知らない下等生物に度々逢うので7はずっと固い表情ではあるが
私は私でいつもよりも何倍もにこやかに相手に接する様子を7に見せると事で
7の警戒心が自然に解ける様にしているつもりではある

まあしかし普段よりも無駄に愛想を良くしないとならないのは、これはこれで疲れる

わざわざ息抜きにきているのに7との2人暮らしよりも疲れるなら
もう2度と7と旅行はするまいと誓う私であった

客室係に部屋まで案内されて簡単に宿泊施設の説明をされ、詳しくは案内書を読んで頂ければと促されてから客筒係は退室していった

7と2人きりになるのは家を出てから何時間ぶりだなと思いながら7の様子を伺うと
2人きりになった途端に少女の目から黒い炭団を嵌めた様な穴の目をキラキラ耀らせて客室をキョロキョロと観察し始めている