>>348
スズのいきなりの乱入に田舎娘花魁は、よほど驚いたのか背中を壁にぶつける勢いで、狭い室内で取れるだけの距離をスズから取り

これもいつの間に取り出したのか分からない、両手に濡れて輝るバットの様な鈍器を一振りずつ握っている

スズは私に笑いかけながら一瞥した後に、壁に貼り付いた状態で固まる田舎娘花魁に話しかける

スズ「あのね、あのね、あのね、スズは7のお姉ちゃんなんだよね、あなたは鰐の会の下等生物Hだよね、7に聞いて知っているよ、あのね、あのね、あのね、7に頼まれて○○を迎えに来たから連れていくよ」

私はスズにいやまだ献血が済んでないからとか、しどろもどろに説明をするが

スズは私にだけ伝わる念話に替えて話してくる、下等生物領域で私は7の姉だからね
妹の7が○○の身を案じてぶるぶる震えながら待っているのを見たら放っては置けないよ

念話のままスズがさらに続ける、スズ「7より遥かに出来るスズ姉に嘘は通じないよ○○、ここだけの事にするから、○○も『献精』ではなくて『献血』を無事に済ました事にして7の待つ家に帰るんだよ」

やはり産まれて間もないまま次元陥穽に捕まる7と違い
そんな7を見付けて救出が出来るだけの優秀なスズでは、下等生物領域への理解度の深さに雲泥の差が有るのを改めて思い知るのだった

私は田舎娘花魁に向かい片手を上げて、じゃあそういう事でとだけ告げて、スズが入ってきた裂け目から外に下りる前に覗いて見る

外には献血者や列を整理するスタッフが居るが、誰も私を見ようともしないのが不思議だ、しかし目立ちたくはないから助かる、たぶんスズの力で見えないのだろう

最後にもう一度だけ振り返ると、田舎娘花魁はよほどスズが怖いのだろうか、凶器を持っているのにスズを前に立ち竦んだままである

何となくだが田舎娘花魁の私を見る目に、このまま置いて行かないでの助けを求める色を見ないでもなかったが

7と違いスズなら田舎娘花魁の命まで取らないのも分かっていたので悪いが見捨てた

済まないが変に庇うとこちらもスズには確実に詰まされてしまうのが解るからだ

献血車両の裂け目からスズが出てくるのに少し間が有ったが、出てきたスズが手に持つ分厚い封筒を見て

あー田舎娘花魁は型に嵌められたのかと気付いた、スズにそこまでやったら可哀想だから、返して来いと言っても聞き入れないし逆にスズに説教をされた

スズ「○○からしたら理不尽かも知れないけれど、7は○○を指標に堕ちてきたのだから、○○には7を大切にして貰いたいね」

スズは、はいこれと鰐の会のHからむしり取った大金を○○に渡しながら

○○が7と同棲する負担の足しにして、7と過ごす時間を幾らかでも増やして頂戴と言う

それからスズは7には○○と手を繋いで帰ったのは内緒にしてねと言いながら、スズに手を繋がれて並んで帰路についた