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Yが住む地下室にHとSがYのショコラの魔法で強制転移させられていた

テーブル上にはスズからの謝礼、1つで約十sの重さがある紙袋が3つ

Y「H、S、それぞれ舞台で忙しい中、度々呼び出して悪いわね、今回も無事に企画書が通ったから

二人に直接にスズ様からの謝礼を手渡したいのと、きちんとお礼を言いたかったから来て貰ったのよ」

HもSも幾ら舞台で忙しくても、現生の魅力に勝る物無しとは身に染みて良く知っている

YもHもSも組織Nに居た時は中抜き分が多いので、いつも給料はカツカツだったなと思いだしていた

HとSはズッシリと重い紙袋をYから手渡しで受け取る

Y「今回もHとSの協力で企画書は上手く行きました、スズ様もHとSにお褒めの言葉を伝えてと言ってました

呼び出して早々で悪いけれども、HとSは明日も仕事だから、直ぐに帰りたいなら自宅まで転移するわよ」

Yは毎回似たようなので悪いけれど、スズ様からの謝礼とは別に、7様の直属護衛軍隊長として、せめてものお礼の品として

**のお弁当と◇◇のスイーツを用意したから持っていって頂戴と、お弁当にスイーツとペットボトルのお茶をHとSに指し示す

HとSは隊長に甘えついでにとお願いをする、ここで食事をしながら、お酒とか飲めたら疲れも癒えるわと

Yは、あらあら、そんな事くらいなら、お安いご用よと、グラスと共に持ってきた赤と白の輸入物ワインの栓を二人の前で抜いた

SがYにYはお弁当は食べないのと訊く

Y「私は先に食事は済ましたから大丈夫よ、あとね、お弁当1つで足りないなら、違う種類のお弁当もあるけど、どうする?」

H「Y、あざっす、体力回復はエネルギー補給に尽きるって、昔から言うから、お代わり有り難く頂戴します」

S「Y、ありがとー、**のお弁当なら、まだ入るわー、お代わり頂きます」

YはHとSに隠し事が有ったが、顔にも態度にも微塵も表さなかった

隠し事と云うのはスズ様がYの自宅に謝礼を届ける度に貰う、手土産の札束とスズ様お手製の焼き菓子についてであった

焼き菓子に添えてあるスズ様からの手紙に、消費期限∞で長持ちします、それから人間の体にとても良い成分入りなので、食べてる間は病知らずで超元気だよとも書いてあった

Yが恐る恐る焼き菓子を1つ口にすると、まるで淡雪のように溶けて消えていく、甘露の塊そのものであった

さらに凄いのはYはショコラの魔法で、必要に応じて肉体の強化や健康の維持をしているのだが

焼き菓子の未知の成分の働きであろう、潜在的に保っているショコラの魔法の原動力である魔力の総量が桁違いに跳ね上がっているではないか?!

YはHとSには悪いけれども、こんな貴重な焼き菓子は独り占めさせて貰うわと迷わず決めていた

Yがとてもお高いお弁当やスイーツやワインをHとSに気前良く奢るのは

7様の直属護衛軍の隊長だからと云うよりは僅かばかりの罪滅ぼしみたいなものであった

Yは満腹になったHとSに、またねバイバイと挨拶してから自宅に転移して別れた

Y「さて、夜もだいぶ更けたけれども、私は焼き菓子を食べてから、地下整備場で整備仕事を朝までに仕上げてみせようかしらね
本当に凄いスズ様の焼き菓子様々だわね」

Yの長いようで短い夜が始まった