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先に来て待っていた影Aが後から来た影に声を掛ける

影A「そちらから、定例会以外の会合を持ちたいと願い出た割には遅い到着だな」

幾分に皮肉を交えて影Aが訪ねて来た影に呼び掛ける、まぎらわしいので後から来た影を影Bとしよう

影A「待たされたので余計な挨拶は抜きで始めさせて貰うよ、さあかけたまえ」

影Aが手を差し向けた先に最初から在ったかのようにテーブルと椅子が現れた

影Bとその連れが静かに椅子に腰掛ける

影B「待たせたのは申し訳なかったが、今回は君にも責任が無い事もないだろう?」

影Aも椅子に腰掛けると何処に居たのかも分からない影Aの連れが同時に腰掛ける

影A「もちろん、私も知りませんでしで済まないのは承知している、だからこうしてアカシックレコード管理司書の責任者の1人として、君の緊急の会合要請にも応じている
改めてアカシックレコード管理司書保安係の君から聞かせて貰おうか」

影Aに改めて遅参のお詫びを告げてから影Bも本題に入る

影B「問題は1つだけだ、極めて希に司書の資格を持たぬ素人が、あまりにも強大な魔力に物を言わせて、介入不可能のアカシックレコードやアカシックレコード自動管理機構に介入しようと試みてしまう時がある
私が遅れたのはそれによりアカシックレコード自動管理機構の持つ保安保全機能が上手く働いているかどうかの最終確認をするのに些か時間がかかったからだ」

影Bの話しを聞いて影Aが答える

影A「僕はこの件は君と僕の担当者同士だけで決めるのは如何なものかと思っている、件の紫の魔女の成長振りを見るとアカシックレコード司書の全体会議に掛ける必要が有るのではないか?」

影Bは影Aの言いたい事は分からないでもないと思いながら話す

影B「そうだね、各担当司書責任者だけで決定出来る事はいつでも1つだけだ、繰り返し司書でない素人がアカシックレコードやアカシックレコード自動管理機構に介入しようと試そうとするのならば、その存在を抹消する事を担当者の判断で許されているだ」

影Aは影Bの返答に僅かに不満の色を感じ取り尋ねる

影A「しかし、君は紫の魔女を見逃して私と話し合いを持ちたいとは、いったい全体どうしたのかね?」

影Aは薄々とは影Bの言いたい事を推察しながら、更に影Bの返答を促す

影B「僕が君にも責任の一端が有ると言った事は覚えているかい?」

影Aの質問に質問で返す影Bのやり方にも動じずに影Aが答える

影A「彼女が北の辺境地域Nの組織Nへの激しい怨みから紫の魔女に変わってしまった原因の一つとして考えられるのは、幼い頃に北の辺境地域Aのオソレザン区域で死にかけた時に
オソレザン区域の全死霊をその身に取り込みながらも、その死霊を逆に取り込んでも生きていられるような
極めて特殊な能力を失うのを惜しい気持ちが私にも無いとは言えない」

影Aは影Bが口を挟みたげなのを止めて更に話す

影A「しかし、そうしたイレギュラーを対処するのも我々、司書の役目だよ
当時のアカシックレコード司書保安係の責任者としてオソレザン区域で起きた現象はアカシックレコードやアカシックレコード自動管理機構への将来的な影響無しと判断した
私の見通しが甘かったのは謝罪するが、それと君が紫の魔女を放置するのは別問題ではないかね?」

影Aの言うことに間違いは無いと思いながら影Bは答える

影B「そう紫の魔女は強大な魔力を持つとはいえ、アカシックレコードやアカシックレコード自動管理機構への介入は出来ないでいる
紫の魔女が出来るのはアカシックレコードからアカシックレコード自動管理機構が読み取りをする時に誤読をさせて、さまざまな現象に介入しているのをアカシックレコード自動管理機構に気付かれないようする詐欺師のようなものだ
君でも僕でも彼女と正面きって争う必要すらない、この世から抹消してしまえば済む、仮に紫の魔女が抹消されそうな時点で気が付いても、彼女にそれを止める能力は無いのだから」