>>561
続き


ワシはハシカンと交わるべく生まれたままの姿になった。
頭に毛が行かず、出過ぎた腹や汚い胸に毛が集中した醜い裸身だ。
おまけにチン〇コはとてつもなく小さく、いつもバカにされた。
そんなワシでもあのハシカンと交われるのだ。
こんな千載一遇のチャンスなどあるものか。

瞬間、ドン!という衝撃がワシの太鼓腹に走った。
さらに二度、三度、その衝撃が走る。
ふと腹をまさぐってみると、指が朱に染まっている。
ハシカンの鋭い爪は、ワシの腹の皮を抉り、脂肪も抉り、夥しい量の鮮血とともに腸にまで達していたのだ。
そう、ハシカンはワシの住むボロ家の近所の野鳥園にいるヒクイドリだったのだ。
いかついながらもいつも愛嬌を振りまくハシカンだったが、夜中にハシカンが住む檻に入ったワシを見るなり獰猛な目つきと動きに変わっていた。
聞けばヒクイドリの蹴りというのは凄まじい威力で、鋭い爪も相まって恐ろしい殺傷力を誇るという。

呻き声を上げようとしたが、野生はそんな時間も与えてくれない。
そう、まるでそれはカンフー映画に出てくる「無影脚」のようだった。
どてっ腹に右足を突き刺したままのハシカンはそのまま軽く飛び上がり、左足でワシの不細工な顔めがけて何度も何度も蹴りを浴びせてくるではないか。

「んぎゅっ!んごっ!ぐぇ!げ!ぐぎゃ”””あああああああああああああっぁあああああああああああああああああああああああああ、ごっ、がああああああああああああああああああ」

顔の皮を引き裂かれ、あごの骨も頬の骨も砕かれ、ズル剥けのハゲ頭も切り裂かれ、何度も何度も蹴りを浴びせられながら、ハシカンはようやくワシに断末魔を上げさせてくれた。

腕も足も無事だ。
だが内臓まで傷が達して醜い容姿と顔がさらに醜くなり、ただの肉塊に成り下がったワシをぎろり、と一瞥するハシカン。
その顔は、「てめえなんて餌にもなりゃしねえよバーカ」とでも言いたげだった。

「んで、ご、ど・・・わいと、え、えしゅ、は・・・すり、ほわい、と・・・」

「ハッ、ハッ、ハッ・・・」という不気味な唸り声が耳に入るのと、意識を手放すのは同時だった。



おわり