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深夜未明に近衛軍標準警戒装置のアラートで三人は叩き起こされる

三人が使う近衛軍標準警戒装置は製造年こそ古いものの自動的に近衛軍電子戦部隊とリンクしては三人が知らぬ間にアップデートをしていた

天幕の隙間から外に出していた子機を複数台標準装備しており、子機を遠方に設置することで長距離広範囲の情報収集や本体のみでも中距離小距離までの情報収集は可能だった

久しぶりのアラートで叩き起こされて、ぐっすり寝ていても、1人遊びに耽っていても、近衛軍軍属としてのかつての訓練漬けの日々は無駄ではなかった

Yは就寝前に枕元に用意しておいた、近衛軍専用ジャケットを急いで身に付けてから
警戒装置本体のディスプレイに表示された警戒情報を読み取る

HとSの1人遊びに耽る組も急いでパンツを履き直すと、やはりジャケットを身に付けてからYの側にいく

近衛軍警戒装置のアラートは重大な危険が迫っている事を報せてくれると良く分かっているHとSは

ねばつく秘密の花園と下着が張り付いて気持ち悪いのを下着をずらして直しもせずにYに訊く

Yの顔色が青を通り越してどす黒い紫色に変わっていたのは、別にショコラの魔法使いの衣装が紫色ベースだからではない、純粋な恐怖からだったがHとSは洞穴内が薄暗いので気が付かない

Y「二人とも覚悟をして聴いてね、洞穴に来るまでに通り過ぎてきた廃墟に、災害獣反応が多数あり、でも問題は数ではなくて、群れの中に中級と上級の上位災害獣反応の感ありよっ」

災害獣のレベル上中下はそのまま人間の魔女、魔導師のの上中下と一致している

かつてYとHとSが近衛軍軍属として採用された時の魔力検査によるレベル等級はYが下レベルを僅かに超えており
HとSは残念ながらレベル外に当たる魔力強化人間該当となっていた

Yの災害獣接近の報せを聞いて固まるHとSに、Yは静かに音を立てないようにして着替えを済ませておきなさいと告げると、洞穴の入り口を覆っている天幕に備え付けの迷彩装置を作動させる

こんな簡易迷彩装置でも無いよりはマシと思いながら、天幕の隙間から外に出した子機は回収する

まだゆっくりと静かに着替え中のHとSにYが小さく声をかける

Y「二人とも平服じゃなくて戦闘服に着替えるとは案外落ち着いてるわね
洞穴入り口の天幕の迷彩装置をたった今、作動させたばかりなので、どれだけ誤魔化せたか分からないけど、やれることは全部やって備えましょう」

Yの話しに静かに頷くHとSは戦闘服に着替えるのに一旦は脱いだ専用ジャケットを改めて身に付ける

Yも静かにしかし手早く戦闘服に着替えると、HとSの二人に荷車の積み荷がしっかり固定されているのを再度確認して貰う間に

やはり近衛軍から勝手に持ち出した、魔術武器類を荷車から取り出してYとHとSの分の使用前チェックを手早く済ませておく

運が良いのか、或いは三人が小物なので見逃して貰ったのか、はたまた廃墟は災害獣の群れの寝床なので帰ってきただけなのか

理由は定かではないが災害獣は自然公園に近付いて来ることなく、夜明け前に警戒装置の索敵距離から出ていって帰っては来なかった

YとHとSの三人が朝飯も取らずに洞穴を後にして逃げ出したのは言うまでもなかった