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YとHとSが主要道路からそれて入った道は、もう何年間も利用者が居ない割には道自体はさほど荒れてはいなかったが

道の上に飛ばされてきたらしい物が撤去されていないので、走り難くて速度を上げられないのは想定外だった

今、荷車を曳いて走る当番は三人の内で一番体力の劣るSなので、YとHが荷車の上で相談している

やはり永く生きている事が幸いしたのか、近衛軍から退役した時に勝手に持ち出した
(実は三人は勘違いしていて、退役扱いにしないようにスズ様から帝の経由で近衛軍には通達されていた
よって三人の身分は休職扱いの軍属のまま、勝手に持ち出した備品等は全てスズ様が対価を支払っている
三人がまた万が一にも犯罪を犯して逮捕されても軍属として近衛軍に引き渡して貰い、最終的にスズ様に引き渡すためである)

近衛軍正式採用の古い端末に入っていた古い地図と後から入れた最新の地図の情報を見比べて

出発した街と次に行く街のちょうど中間辺りに野営するのに適当な場所を見付けたので

まだ陽は高いが早めに今日は休息をしましょうと決める

Y「S、次の交代の時間に交代しない代わりに今日は早めに野営するから、それから明日は私とHの2交代で街に着くまでやるから、あと少しだから頑張ってね」

そう言われて走り難くて苦労しているSは張りきる

S「ありがとうY、それならペースを上げて行くから二人とも落ちない様にしっかり捕まっていてよ」

HもSの苦労を労い声をかける

H「野営地まであと少しでも、あんまり無理はすんなよ、まだ目的の港街には遠いから御安全にな」

無理をしても陽のある内に次の街に行くのが正しい選択だとは、この時の三人は知らなかった