・でも植物も...
「でも植物は/も...」からはじまるのは、Plants tho(プランツゾウ)と呼ばれるビーガニズムに対する最も一般的な議論の一つ。
「でも植物にも命が...」という議論であれば、そもそもビーガニズムは搾取される対象の感覚や感情を尊重する思想であり、命を主題としたものではないため、この時点で論理的誤謬(藁人形論法)である。
また、命はすべて平等であるから等しく扱うべき、あるいは、命の平等さのみを考慮し、扱われる対象者の感覚や感情の応答を考慮する必要がない、というのであれば、当然ホモサピエンスの命も平等であるため、ホモサピエンスの搾取も正当化されることになる。
探検
【悲報】ヴィーガンによる「肉食主義者完全論破マニュアル」が強すぎると話題に
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1それでも動く名無し
2022/03/23(水) 17:56:29.80ID:6+mDGjkXM255それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:33:43.69ID:jZRnw3of0 アンハサウェイのサーモン食ったらPCが再起動したみたいになったっていうのを体験してみたい
256それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:33:46.49ID:O4rWTGM50 >>249
俺に噛みついてきたのはお前だよね(笑)
俺に噛みついてきたのはお前だよね(笑)
257それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:33:46.69ID:CJ4i1pPyd 倫理観は変わる
大昔の人から見れば基本的人権だって「勝手な主観」にすぎなかった
大昔の人から見れば基本的人権だって「勝手な主観」にすぎなかった
258それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:33:57.85ID:JQJRpq4cp 論破とかじゃなくて大豆アレルギーだからヴィーガンの食生活無理なんや
259それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:34:10.09ID:n0ubgD5w0 こいつら薬飲まんの?
ほとんどの薬は動物実験やってるやろ
ほとんどの薬は動物実験やってるやろ
260それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:34:13.39ID:sXUFSHk70 >>252
マジかよ不味そう
マジかよ不味そう
261それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:34:35.14ID:I1qCghIja 藁人形論法なんてものがあるんやな
勉強になったで
サンガツ
勉強になったで
サンガツ
262それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:34:37.55ID:CJ4i1pPyd >>256
じゃあレス11はおかしいわ
じゃあレス11はおかしいわ
263それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:35:04.55ID:2iW0TTLf0264それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:35:11.30ID:wgggwxdbM265それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:35:18.18ID:CJ4i1pPyd >>254
虐待と余分に肉食うことの違いについて話してるのに金銭関係あるか?
虐待と余分に肉食うことの違いについて話してるのに金銭関係あるか?
266それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:35:18.97ID:5IOOMinHp まずなんとか屁理屈で返してやろうっていう前提の元作られた反論だからペラペラなんよ
267それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:35:41.79ID:vBuLj64q0 ヴィーガンの思想って根本的な部分は理解できなくないけど理想主義でしかないから現実に行おうとすると歪なことになるんだよね
268それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:36:01.79ID:1y0TmB/L0 小難しいこと言わずに命の総量だけを論点にしたらええねん
奪われる命が少ないと思うからこそ肉食を辞めるんやろ?
徹底的にシミュレーションしてどっちの食生活が奪われる命が多いのか検証したらええんちゃうか
奪われる命が少ないと思うからこそ肉食を辞めるんやろ?
徹底的にシミュレーションしてどっちの食生活が奪われる命が多いのか検証したらええんちゃうか
269それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:36:04.98ID:H3YW0lBI0 肉食菜食の問題はともかくとして法律変える運動までしてるんなら
ヴィーガンVS食肉産業を牛耳ってる部落の戦いは興味あるで
ヴィーガンVS食肉産業を牛耳ってる部落の戦いは興味あるで
270それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:36:14.84ID:CJ4i1pPyd >>266
植物だって生きてるとか、ライオンにも言ってこいとかそっちのほうがよっぽど屁理屈やがな
植物だって生きてるとか、ライオンにも言ってこいとかそっちのほうがよっぽど屁理屈やがな
271それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:36:15.50ID:4wdEw6iDM >>266
じゃあ貼られたぶんぐらい全部論破してくれるか?
じゃあ貼られたぶんぐらい全部論破してくれるか?
272それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:36:16.27ID:sT7SQBjV0 >>243
論破したるよ
ヴィーガンの価値観では植物は感情がないから食べてもオッケー
動物は感情があるからダメなんだろ
じゃあ感情が無ければ命を奪っても良いってのも自分勝手な基準でしかない
結局はヴィーガンの決めた価値観に従えってだけ
変な新興宗教と言ってることと同じなんだよ
論破したるよ
ヴィーガンの価値観では植物は感情がないから食べてもオッケー
動物は感情があるからダメなんだろ
じゃあ感情が無ければ命を奪っても良いってのも自分勝手な基準でしかない
結局はヴィーガンの決めた価値観に従えってだけ
変な新興宗教と言ってることと同じなんだよ
273それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:36:24.21ID:Dp/tyJ+Rr 好きにしろ
274それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:36:31.27ID:VkHm5xMjd 昔は正しくなかったが今は正しい事柄がある
と
今は正しくないが未来では正しくなる事柄がある
はイコールやけど
せやからって
今は正しくない事柄が未来では正しい事柄になる
わけやないからなぁ
と
今は正しくないが未来では正しくなる事柄がある
はイコールやけど
せやからって
今は正しくない事柄が未来では正しい事柄になる
わけやないからなぁ
275それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:36:54.84ID:hoUwQ3zgr276それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:37:02.16ID:CJ4i1pPyd >>272
どんな思想も最初はマイノリティやぞ
どんな思想も最初はマイノリティやぞ
277それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:37:47.07ID:CJ4i1pPyd278それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:38:02.66ID:vBuLj64q0 あとヴィーガン料理食ったことあるけど普通に焼肉の方が美味いよ
その時点でヴィーガンの負けや
その時点でヴィーガンの負けや
279それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:38:06.19ID:5IOOMinHp >>270
当然の疑問やろ
当然の疑問やろ
280それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:38:18.85ID:KKC/Gh47a281それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:38:34.26ID:PwXXpPUQ0 ワイは焼肉食ってくる
282それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:38:35.55ID:sT7SQBjV0 >>276
全然反論になってないんやが
全然反論になってないんやが
283それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:38:56.38ID:KLrsH/8A0284それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:39:06.47ID:PxDmXAhc0 奴隷と飯の元を同一視している時点でヴィーガンの頭の悪さがうかがえる
285それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:39:23.21ID:KKC/Gh47a >>278
ヴィーガンさん曰く味覚が汚染されてるらしいでそれ
ヴィーガンさん曰く味覚が汚染されてるらしいでそれ
286それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:39:38.08ID:CJ4i1pPyd 全ての倫理観は主観やねん
大多数の主観は客観になるだけ
ビーガニズムもいずれは大多数になって客観になる
大多数の主観は客観になるだけ
ビーガニズムもいずれは大多数になって客観になる
288それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:40:20.83ID:5IOOMinHp289それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:40:54.98ID:PxDmXAhc0 植物ってほんとに感情ないんか?
290それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:40:55.16ID:CJ4i1pPyd291それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:41:16.65ID:egkkdwrN0 植物だけ食って育ったヴィーガンを食えば実質野菜食ったようなもんやろ
292それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:41:27.75ID:vBuLj64q0293それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:41:29.66ID:CJ4i1pPyd >>288
倫理観は変わるもんやで
倫理観は変わるもんやで
294それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:41:41.08ID:MF3cgIl4d 逃げたみたいやしワイの勝ちみたいやね
295それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:42:40.87ID:KKC/Gh47a 世界の食糧事情考えたら
菜食主義は悪いことではない
毛皮や象牙なんかも密猟の原因となって絶滅の恐れあるし
菜食主義は悪いことではない
毛皮や象牙なんかも密猟の原因となって絶滅の恐れあるし
296それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:43:10.91ID:CJ4i1pPyd 昔は日本人も犬も食ってたし犬を食うななんて言ったら「お前の勝手な線引き」と返された
でも今日本社会で犬を食うのは全く理解されてないやろ?
でも今日本社会で犬を食うのは全く理解されてないやろ?
297それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:43:27.35ID:7stA/asA0 なんかヴィーガンの中にも乳製品セーフな人とか魚セーフの人とか週末は肉セーフな人とかおるよな
298それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:43:27.59ID:BR/EE31F0 金持ちの道楽を貧乏人がやるのが間違いや
299それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:43:35.77ID:O4rWTGM50300それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:43:41.82ID:KjJQs2w70 アフィカスが立てたスレ
301それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:43:50.11ID:u7xcem/V0 人類が絶滅するのが一番みたいな論だと誰も乗ってこないやろ
だって正論だから
だって正論だから
302それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:44:02.21ID:V1EqpWkC0 ゴキブリアフィリエイトの養分に成り下がってるID真っ赤の植物人間さあ
303それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:44:06.49ID:CJ4i1pPyd 今の倫理観だって人間全体としての「勝手な線引き」にすぎない
そしてその線引きは時代により変わっていく
そしてその線引きは時代により変わっていく
304それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:44:13.50ID:dnXewegQ0 肉食うなとかハナから無理難題な主張通らんなんてバカでも分かるやろってことはおいといて
ヴィーガンだって本当にこの世から肉食が無くなること望んでないやろ
「肉食主義者に断固反対する崇高な精神の持ち主である自分」のために活動してるんやから
ヴィーガンだって本当にこの世から肉食が無くなること望んでないやろ
「肉食主義者に断固反対する崇高な精神の持ち主である自分」のために活動してるんやから
305それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:44:22.28ID:5IOOMinHp >>293
自分の中で変わるもんであって人に変えられるもんではないので
自分の中で変わるもんであって人に変えられるもんではないので
306それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:44:32.36ID:JQJRpq4cp 呑気にヴィーガンやれてるのも大豆食えるからやぞ
大豆食えない人の気持ちも考えろよ
大豆食えない人の気持ちも考えろよ
307それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:44:33.67ID:T6I7HNPA0 >>45
面と向かって「よく分かった、ありがとう!ほな、晩飯はトンカツにするわ!」と言うのが一番効くやろ
面と向かって「よく分かった、ありがとう!ほな、晩飯はトンカツにするわ!」と言うのが一番効くやろ
308それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:44:36.65ID:sT7SQBjV0309それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:44:46.98ID:hoUwQ3zgr310それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:44:56.61ID:+pLCNQMxd >>296
すまんけどそれで「ほーんほなら肉食主義は間違っててヴィーガンが正しいんやな」って持っていけるのは宗教に引っ掛かるような頭の弱いのしかおらんで
すまんけどそれで「ほーんほなら肉食主義は間違っててヴィーガンが正しいんやな」って持っていけるのは宗教に引っ掛かるような頭の弱いのしかおらんで
311それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:45:04.68ID:KKC/Gh47a312それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:45:17.97ID:CJ4i1pPyd >>305
ふーんお前は全く教育を受けずに今の倫理観を獲得したんか立派やねぇ
ふーんお前は全く教育を受けずに今の倫理観を獲得したんか立派やねぇ
313それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:45:54.64ID:CJ4i1pPyd314それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:46:10.35ID:/VSDM5d6M チーガンがイライラしてるスレはここですか?
315それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:46:20.01ID:/wkXpthL0 ぶっちゃけヴィーガンは好きにやってればいい
肉食ってる人に文句言わなきゃね
肉食ってる人に文句言わなきゃね
316それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:46:58.82ID:MX2cZrBX0 >>307
わざと面と向かって言ったわけちゃうけど
子供のころにヴィーガンの親戚BBAに色々話聞かされて
親戚BBA「ワイくん分かった?」
ワイ「分かったー!」
マッマ「ワイ〜今日はハンバーグやで〜」
ワイ「やったー!」
でクッソキレられたわ
わざと面と向かって言ったわけちゃうけど
子供のころにヴィーガンの親戚BBAに色々話聞かされて
親戚BBA「ワイくん分かった?」
ワイ「分かったー!」
マッマ「ワイ〜今日はハンバーグやで〜」
ワイ「やったー!」
でクッソキレられたわ
318それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:47:36.01ID:07ygje2vM319それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:47:47.28ID:KKC/Gh47a320それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:47:49.54ID:CJ4i1pPyd >>317
そうだも限らんが
そうだも限らんが
321それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:48:12.08ID:8JbZN51Qd ヴィーガンの人って人間基準でもなく命基準でもなく痛覚の有無で食べていいか判断してるってことは
無脳症の子供の肉は食べていいものにカテゴライズされるんか?
無脳症の子供の肉は食べていいものにカテゴライズされるんか?
322それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:48:25.46ID:dnXewegQ0 >>311
ヴィーガンの話題に限らずこういう誰にも答えなんか分からない数の大小を「多いぞ」「少ないぞ」って断定するレスがどれぐらい頭悪く見えるか考えたこともないんやろうか
ヴィーガンの話題に限らずこういう誰にも答えなんか分からない数の大小を「多いぞ」「少ないぞ」って断定するレスがどれぐらい頭悪く見えるか考えたこともないんやろうか
324それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:48:47.01ID:5IOOMinHp325それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:48:59.52ID:CJ4i1pPyd326それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:49:30.10ID:8JbZN51Qd >>325
???
???
327それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:49:30.54ID:KKC/Gh47a >>322
お前の断定の方がよっぽど頭悪いやろ
お前の断定の方がよっぽど頭悪いやろ
328それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:49:32.89ID:/PWRtlekp 鼻
芥川龍之介
禅智内供ぜんちないぐの鼻と云えば、池いけの尾おで知らない者はない。長さは五六寸あって上唇うわくちびるの上から顋あごの下まで下っている。形は元も先も同じように太い。云わば細長い腸詰ちょうづめのような物が、ぶらりと顔のまん中からぶら下っているのである。
五十歳を越えた内供は、沙弥しゃみの昔から、内道場供奉ないどうじょうぐぶの職に陞のぼった今日こんにちまで、内心では始終この鼻を苦に病んで来た。勿論もちろん表面では、今でもさほど気にならないような顔をしてすましている。これは専念に当来とうらいの浄土じょうどを渇仰かつぎょうすべき僧侶そうりょの身で、鼻の心配をするのが悪いと思ったからばかりではない。それよりむしろ、自分で鼻を気にしていると云う事を、人に知られるのが嫌だったからである。内供は日常の談話の中に、鼻と云う語が出て来るのを何よりも惧おそれていた。
内供が鼻を持てあました理由は二つある。――一つは実際的に、鼻の長いのが不便だったからである。第一飯を食う時にも独りでは食えない。独りで食えば、鼻の先が鋺かなまりの中の飯へとどいてしまう。そこで内供は弟子の一人を膳の向うへ坐らせて、飯を食う間中、広さ一寸長さ二尺ばかりの板で、鼻を持上げていて貰う事にした。しかしこうして飯を食うと云う事は、持上げている弟子にとっても、持上げられている内供にとっても、決して容易な事ではない。一度この弟子の代りをした中童子ちゅうどうじが、嚏くさめをした拍子に手がふるえて、鼻を粥かゆの中へ落した話は、当時京都まで喧伝けんでんされた。――けれどもこれは内供にとって、決して鼻を苦に病んだ重おもな理由ではない。内供は実にこの鼻によって傷つけられる自尊心のために苦しんだのである。
池の尾の町の者は、こう云う鼻をしている禅智内供のために、内供の俗でない事を仕合せだと云った。あの鼻では誰も妻になる女があるまいと思ったからである。中にはまた、あの鼻だから出家しゅっけしたのだろうと批評する者さえあった。しかし内供は、自分が僧であるために、幾分でもこの鼻に煩わずらわされる事が少くなったと思っていない。内供の自尊心は、妻帯と云うような結果的な事実に左右されるためには、余りにデリケイトに出来ていたのである。そこで内供は、積極的にも消極的にも、この自尊心の毀損きそんを恢復かいふくしようと試みた。
芥川龍之介
禅智内供ぜんちないぐの鼻と云えば、池いけの尾おで知らない者はない。長さは五六寸あって上唇うわくちびるの上から顋あごの下まで下っている。形は元も先も同じように太い。云わば細長い腸詰ちょうづめのような物が、ぶらりと顔のまん中からぶら下っているのである。
五十歳を越えた内供は、沙弥しゃみの昔から、内道場供奉ないどうじょうぐぶの職に陞のぼった今日こんにちまで、内心では始終この鼻を苦に病んで来た。勿論もちろん表面では、今でもさほど気にならないような顔をしてすましている。これは専念に当来とうらいの浄土じょうどを渇仰かつぎょうすべき僧侶そうりょの身で、鼻の心配をするのが悪いと思ったからばかりではない。それよりむしろ、自分で鼻を気にしていると云う事を、人に知られるのが嫌だったからである。内供は日常の談話の中に、鼻と云う語が出て来るのを何よりも惧おそれていた。
内供が鼻を持てあました理由は二つある。――一つは実際的に、鼻の長いのが不便だったからである。第一飯を食う時にも独りでは食えない。独りで食えば、鼻の先が鋺かなまりの中の飯へとどいてしまう。そこで内供は弟子の一人を膳の向うへ坐らせて、飯を食う間中、広さ一寸長さ二尺ばかりの板で、鼻を持上げていて貰う事にした。しかしこうして飯を食うと云う事は、持上げている弟子にとっても、持上げられている内供にとっても、決して容易な事ではない。一度この弟子の代りをした中童子ちゅうどうじが、嚏くさめをした拍子に手がふるえて、鼻を粥かゆの中へ落した話は、当時京都まで喧伝けんでんされた。――けれどもこれは内供にとって、決して鼻を苦に病んだ重おもな理由ではない。内供は実にこの鼻によって傷つけられる自尊心のために苦しんだのである。
池の尾の町の者は、こう云う鼻をしている禅智内供のために、内供の俗でない事を仕合せだと云った。あの鼻では誰も妻になる女があるまいと思ったからである。中にはまた、あの鼻だから出家しゅっけしたのだろうと批評する者さえあった。しかし内供は、自分が僧であるために、幾分でもこの鼻に煩わずらわされる事が少くなったと思っていない。内供の自尊心は、妻帯と云うような結果的な事実に左右されるためには、余りにデリケイトに出来ていたのである。そこで内供は、積極的にも消極的にも、この自尊心の毀損きそんを恢復かいふくしようと試みた。
329それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:49:36.92ID:jTq7voNHM ワイヴィーガン歴15年流行りにされて複雑
330それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:49:38.56ID:JQJRpq4cp 「お、ヴィーガン食かぁ」と興味持って手に取ったら裏に「大豆」
悲しいね
悲しいね
331それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:49:49.39ID:/PWRtlekp 第一に内供の考えたのは、この長い鼻を実際以上に短く見せる方法である。これは人のいない時に、鏡へ向って、いろいろな角度から顔を映しながら、熱心に工夫くふうを凝こらして見た。どうかすると、顔の位置を換えるだけでは、安心が出来なくなって、頬杖ほおづえをついたり頤あごの先へ指をあてがったりして、根気よく鏡を覗いて見る事もあった。しかし自分でも満足するほど、鼻が短く見えた事は、これまでにただの一度もない。時によると、苦心すればするほど、かえって長く見えるような気さえした。内供は、こう云う時には、鏡を箱へしまいながら、今更のようにため息をついて、不承不承にまた元の経机きょうづくえへ、観音経かんのんぎょうをよみに帰るのである。
それからまた内供は、絶えず人の鼻を気にしていた。池の尾の寺は、僧供講説そうぐこうせつなどのしばしば行われる寺である。寺の内には、僧坊が隙なく建て続いて、湯屋では寺の僧が日毎に湯を沸かしている。従ってここへ出入する僧俗の類たぐいも甚だ多い。内供はこう云う人々の顔を根気よく物色した。一人でも自分のような鼻のある人間を見つけて、安心がしたかったからである。だから内供の眼には、紺の水干すいかんも白の帷子かたびらもはいらない。まして柑子色こうじいろの帽子や、椎鈍しいにびの法衣ころもなぞは、見慣れているだけに、有れども無きが如くである。内供は人を見ずに、ただ、鼻を見た。――しかし鍵鼻かぎばなはあっても、内供のような鼻は一つも見当らない。その見当らない事が度重なるに従って、内供の心は次第にまた不快になった。内供が人と話しながら、思わずぶらりと下っている鼻の先をつまんで見て、年甲斐としがいもなく顔を赤らめたのは、全くこの不快に動かされての所為しょいである。
最後に、内供は、内典外典ないてんげてんの中に、自分と同じような鼻のある人物を見出して、せめても幾分の心やりにしようとさえ思った事がある。けれども、目連もくれんや、舎利弗しゃりほつの鼻が長かったとは、どの経文にも書いてない。勿論竜樹りゅうじゅや馬鳴めみょうも、人並の鼻を備えた菩薩ぼさつである。内供は、震旦しんたんの話の序ついでに蜀漢しょくかんの劉玄徳りゅうげんとくの耳が長かったと云う事を聞いた時に、それが鼻だったら、どのくらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
それからまた内供は、絶えず人の鼻を気にしていた。池の尾の寺は、僧供講説そうぐこうせつなどのしばしば行われる寺である。寺の内には、僧坊が隙なく建て続いて、湯屋では寺の僧が日毎に湯を沸かしている。従ってここへ出入する僧俗の類たぐいも甚だ多い。内供はこう云う人々の顔を根気よく物色した。一人でも自分のような鼻のある人間を見つけて、安心がしたかったからである。だから内供の眼には、紺の水干すいかんも白の帷子かたびらもはいらない。まして柑子色こうじいろの帽子や、椎鈍しいにびの法衣ころもなぞは、見慣れているだけに、有れども無きが如くである。内供は人を見ずに、ただ、鼻を見た。――しかし鍵鼻かぎばなはあっても、内供のような鼻は一つも見当らない。その見当らない事が度重なるに従って、内供の心は次第にまた不快になった。内供が人と話しながら、思わずぶらりと下っている鼻の先をつまんで見て、年甲斐としがいもなく顔を赤らめたのは、全くこの不快に動かされての所為しょいである。
最後に、内供は、内典外典ないてんげてんの中に、自分と同じような鼻のある人物を見出して、せめても幾分の心やりにしようとさえ思った事がある。けれども、目連もくれんや、舎利弗しゃりほつの鼻が長かったとは、どの経文にも書いてない。勿論竜樹りゅうじゅや馬鳴めみょうも、人並の鼻を備えた菩薩ぼさつである。内供は、震旦しんたんの話の序ついでに蜀漢しょくかんの劉玄徳りゅうげんとくの耳が長かったと云う事を聞いた時に、それが鼻だったら、どのくらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
332それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:49:59.89ID:CJ4i1pPyd333それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:50:01.61ID:E8hTJyHj0 好きなもん食えばいいのに
334それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:50:05.83ID:/PWRtlekp 内供がこう云う消極的な苦心をしながらも、一方ではまた、積極的に鼻の短くなる方法を試みた事は、わざわざここに云うまでもない。内供はこの方面でもほとんど出来るだけの事をした。烏瓜からすうりを煎せんじて飲んで見た事もある。鼠の尿いばりを鼻へなすって見た事もある。しかし何をどうしても、鼻は依然として、五六寸の長さをぶらりと唇の上にぶら下げているではないか。
所がある年の秋、内供の用を兼ねて、京へ上った弟子でしの僧が、知己しるべの医者から長い鼻を短くする法を教わって来た。その医者と云うのは、もと震旦しんたんから渡って来た男で、当時は長楽寺ちょうらくじの供僧ぐそうになっていたのである。
内供は、いつものように、鼻などは気にかけないと云う風をして、わざとその法もすぐにやって見ようとは云わずにいた。そうして一方では、気軽な口調で、食事の度毎に、弟子の手数をかけるのが、心苦しいと云うような事を云った。内心では勿論弟子の僧が、自分を説伏ときふせて、この法を試みさせるのを待っていたのである。弟子の僧にも、内供のこの策略がわからない筈はない。しかしそれに対する反感よりは、内供のそう云う策略をとる心もちの方が、より強くこの弟子の僧の同情を動かしたのであろう。弟子の僧は、内供の予期通り、口を極めて、この法を試みる事を勧め出した。そうして、内供自身もまた、その予期通り、結局この熱心な勧告に聴従ちょうじゅうする事になった。
その法と云うのは、ただ、湯で鼻を茹ゆでて、その鼻を人に踏ませると云う、極めて簡単なものであった。
湯は寺の湯屋で、毎日沸かしている。そこで弟子の僧は、指も入れられないような熱い湯を、すぐに提ひさげに入れて、湯屋から汲んで来た。しかしじかにこの提へ鼻を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を火傷やけどする惧おそれがある。そこで折敷おしきへ穴をあけて、それを提の蓋ふたにして、その穴から鼻を湯の中へ入れる事にした。鼻だけはこの熱い湯の中へ浸ひたしても、少しも熱くないのである。しばらくすると弟子の僧が云った。
所がある年の秋、内供の用を兼ねて、京へ上った弟子でしの僧が、知己しるべの医者から長い鼻を短くする法を教わって来た。その医者と云うのは、もと震旦しんたんから渡って来た男で、当時は長楽寺ちょうらくじの供僧ぐそうになっていたのである。
内供は、いつものように、鼻などは気にかけないと云う風をして、わざとその法もすぐにやって見ようとは云わずにいた。そうして一方では、気軽な口調で、食事の度毎に、弟子の手数をかけるのが、心苦しいと云うような事を云った。内心では勿論弟子の僧が、自分を説伏ときふせて、この法を試みさせるのを待っていたのである。弟子の僧にも、内供のこの策略がわからない筈はない。しかしそれに対する反感よりは、内供のそう云う策略をとる心もちの方が、より強くこの弟子の僧の同情を動かしたのであろう。弟子の僧は、内供の予期通り、口を極めて、この法を試みる事を勧め出した。そうして、内供自身もまた、その予期通り、結局この熱心な勧告に聴従ちょうじゅうする事になった。
その法と云うのは、ただ、湯で鼻を茹ゆでて、その鼻を人に踏ませると云う、極めて簡単なものであった。
湯は寺の湯屋で、毎日沸かしている。そこで弟子の僧は、指も入れられないような熱い湯を、すぐに提ひさげに入れて、湯屋から汲んで来た。しかしじかにこの提へ鼻を入れるとなると、湯気に吹かれて顔を火傷やけどする惧おそれがある。そこで折敷おしきへ穴をあけて、それを提の蓋ふたにして、その穴から鼻を湯の中へ入れる事にした。鼻だけはこの熱い湯の中へ浸ひたしても、少しも熱くないのである。しばらくすると弟子の僧が云った。
335それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:50:24.51ID:CJ4i1pPyd336それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:50:27.12ID:bpHcB9Uh0 動物性タンパク質取らないと健康を害するよね
命が掛かってるのはどっちも同じなのになぜ人間を差別するんだ?
命が掛かってるのはどっちも同じなのになぜ人間を差別するんだ?
337それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:50:46.66ID:hn3Ljap40 。
――もう茹ゆだった時分でござろう。
内供は苦笑した。これだけ聞いたのでは、誰も鼻の話とは気がつかないだろうと思ったからである。鼻は熱湯に蒸むされて、蚤のみの食ったようにむず痒がゆい。
弟子の僧は、内供が折敷の穴から鼻をぬくと、そのまだ湯気の立っている鼻を、両足に力を入れながら、踏みはじめた。内供は横になって、鼻を床板の上へのばしながら、弟子の僧の足が上下うえしたに動くのを眼の前に見ているのである。弟子の僧は、時々気の毒そうな顔をして、内供の禿はげ頭を見下しながら、こんな事を云った。
――痛うはござらぬかな。医師は責せめて踏めと申したで。じゃが、痛うはござらぬかな。
内供は首を振って、痛くないと云う意味を示そうとした。所が鼻を踏まれているので思うように首が動かない。そこで、上眼うわめを使って、弟子の僧の足に皹あかぎれのきれているのを眺めながら、腹を立てたような声で、
――痛うはないて。
と答えた。実際鼻はむず痒い所を踏まれるので、痛いよりもかえって気もちのいいくらいだったのである。
しばらく踏んでいると、やがて、粟粒あわつぶのようなものが、鼻へ出来はじめた。云わば毛をむしった小鳥をそっくり丸炙まるやきにしたような形である。弟子の僧はこれを見ると、足を止めて独り言のようにこう云った。
――これを鑷子けぬきでぬけと申す事でござった。
内供は、不足らしく頬をふくらせて、黙って弟子の僧のするなりに任せて置いた。勿論弟子の僧の親切がわからない訳ではない。それは分っても、自分の鼻をまるで物品のように取扱うのが、不愉快に思われたからである。内供は、信用しない医者の手術をうける患者のような顔をして、不承不承に弟子の僧が、鼻の毛穴から鑷子けぬきで脂あぶらをとるのを眺めていた。脂は、鳥の羽の茎くきのような形をして、四分ばかりの長さにぬけるのである。
やがてこれが一通りすむと、弟子の僧は、ほっと一息ついたような顔をして、
――もう一度、これを茹でればようござる。
と云った。
内供はやはり、八の字をよせたまま不服らしい顔をして、弟子の僧の云うなりになっていた。
――もう茹ゆだった時分でござろう。
内供は苦笑した。これだけ聞いたのでは、誰も鼻の話とは気がつかないだろうと思ったからである。鼻は熱湯に蒸むされて、蚤のみの食ったようにむず痒がゆい。
弟子の僧は、内供が折敷の穴から鼻をぬくと、そのまだ湯気の立っている鼻を、両足に力を入れながら、踏みはじめた。内供は横になって、鼻を床板の上へのばしながら、弟子の僧の足が上下うえしたに動くのを眼の前に見ているのである。弟子の僧は、時々気の毒そうな顔をして、内供の禿はげ頭を見下しながら、こんな事を云った。
――痛うはござらぬかな。医師は責せめて踏めと申したで。じゃが、痛うはござらぬかな。
内供は首を振って、痛くないと云う意味を示そうとした。所が鼻を踏まれているので思うように首が動かない。そこで、上眼うわめを使って、弟子の僧の足に皹あかぎれのきれているのを眺めながら、腹を立てたような声で、
――痛うはないて。
と答えた。実際鼻はむず痒い所を踏まれるので、痛いよりもかえって気もちのいいくらいだったのである。
しばらく踏んでいると、やがて、粟粒あわつぶのようなものが、鼻へ出来はじめた。云わば毛をむしった小鳥をそっくり丸炙まるやきにしたような形である。弟子の僧はこれを見ると、足を止めて独り言のようにこう云った。
――これを鑷子けぬきでぬけと申す事でござった。
内供は、不足らしく頬をふくらせて、黙って弟子の僧のするなりに任せて置いた。勿論弟子の僧の親切がわからない訳ではない。それは分っても、自分の鼻をまるで物品のように取扱うのが、不愉快に思われたからである。内供は、信用しない医者の手術をうける患者のような顔をして、不承不承に弟子の僧が、鼻の毛穴から鑷子けぬきで脂あぶらをとるのを眺めていた。脂は、鳥の羽の茎くきのような形をして、四分ばかりの長さにぬけるのである。
やがてこれが一通りすむと、弟子の僧は、ほっと一息ついたような顔をして、
――もう一度、これを茹でればようござる。
と云った。
内供はやはり、八の字をよせたまま不服らしい顔をして、弟子の僧の云うなりになっていた。
338それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:51:07.34ID:hn3Ljap40 さて二度目に茹でた鼻を出して見ると、成程、いつになく短くなっている。これではあたりまえの鍵鼻と大した変りはない。内供はその短くなった鼻を撫なでながら、弟子の僧の出してくれる鏡を、極きまりが悪るそうにおずおず覗のぞいて見た。
鼻は――あの顋あごの下まで下っていた鼻は、ほとんど嘘のように萎縮して、今は僅わずかに上唇の上で意気地なく残喘ざんぜんを保っている。所々まだらに赤くなっているのは、恐らく踏まれた時の痕あとであろう。こうなれば、もう誰も哂わらうものはないにちがいない。――鏡の中にある内供の顔は、鏡の外にある内供の顔を見て、満足そうに眼をしばたたいた。
しかし、その日はまだ一日、鼻がまた長くなりはしないかと云う不安があった。そこで内供は誦経ずぎょうする時にも、食事をする時にも、暇さえあれば手を出して、そっと鼻の先にさわって見た。が、鼻は行儀ぎょうぎよく唇の上に納まっているだけで、格別それより下へぶら下って来る景色もない。それから一晩寝てあくる日早く眼がさめると内供はまず、第一に、自分の鼻を撫でて見た。鼻は依然として短い。内供はそこで、幾年にもなく、法華経ほけきょう書写の功を積んだ時のような、のびのびした気分になった。
所が二三日たつ中に、内供は意外な事実を発見した。それは折から、用事があって、池の尾の寺を訪れた侍さむらいが、前よりも一層可笑おかしそうな顔をして、話も碌々ろくろくせずに、じろじろ内供の鼻ばかり眺めていた事である。それのみならず、かつて、内供の鼻を粥かゆの中へ落した事のある中童子ちゅうどうじなぞは、講堂の外で内供と行きちがった時に、始めは、下を向いて可笑おかしさをこらえていたが、とうとうこらえ兼ねたと見えて、一度にふっと吹き出してしまった。用を云いつかった下法師しもほうしたちが、面と向っている間だけは、慎つつしんで聞いていても、内供が後うしろさえ向けば、すぐにくすくす笑い出したのは、一度や二度の事ではない。
内供ははじめ、これを自分の顔がわりがしたせいだと解釈した。しかしどうもこの解釈だけでは十分に説明がつかないようである。――勿論、中童子や下法師が哂わらう原因は、そこにあるのにちがいない。けれども同じ哂うにしても、鼻の長かった昔とは、哂うのにどことなく容子ようすがちがう。見慣れた長い鼻より、見慣れない短い鼻の方が滑稽こっけいに見えると云えば、それまでである。が、そこにはまだ何かあるらしい。
鼻は――あの顋あごの下まで下っていた鼻は、ほとんど嘘のように萎縮して、今は僅わずかに上唇の上で意気地なく残喘ざんぜんを保っている。所々まだらに赤くなっているのは、恐らく踏まれた時の痕あとであろう。こうなれば、もう誰も哂わらうものはないにちがいない。――鏡の中にある内供の顔は、鏡の外にある内供の顔を見て、満足そうに眼をしばたたいた。
しかし、その日はまだ一日、鼻がまた長くなりはしないかと云う不安があった。そこで内供は誦経ずぎょうする時にも、食事をする時にも、暇さえあれば手を出して、そっと鼻の先にさわって見た。が、鼻は行儀ぎょうぎよく唇の上に納まっているだけで、格別それより下へぶら下って来る景色もない。それから一晩寝てあくる日早く眼がさめると内供はまず、第一に、自分の鼻を撫でて見た。鼻は依然として短い。内供はそこで、幾年にもなく、法華経ほけきょう書写の功を積んだ時のような、のびのびした気分になった。
所が二三日たつ中に、内供は意外な事実を発見した。それは折から、用事があって、池の尾の寺を訪れた侍さむらいが、前よりも一層可笑おかしそうな顔をして、話も碌々ろくろくせずに、じろじろ内供の鼻ばかり眺めていた事である。それのみならず、かつて、内供の鼻を粥かゆの中へ落した事のある中童子ちゅうどうじなぞは、講堂の外で内供と行きちがった時に、始めは、下を向いて可笑おかしさをこらえていたが、とうとうこらえ兼ねたと見えて、一度にふっと吹き出してしまった。用を云いつかった下法師しもほうしたちが、面と向っている間だけは、慎つつしんで聞いていても、内供が後うしろさえ向けば、すぐにくすくす笑い出したのは、一度や二度の事ではない。
内供ははじめ、これを自分の顔がわりがしたせいだと解釈した。しかしどうもこの解釈だけでは十分に説明がつかないようである。――勿論、中童子や下法師が哂わらう原因は、そこにあるのにちがいない。けれども同じ哂うにしても、鼻の長かった昔とは、哂うのにどことなく容子ようすがちがう。見慣れた長い鼻より、見慣れない短い鼻の方が滑稽こっけいに見えると云えば、それまでである。が、そこにはまだ何かあるらしい。
339それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:51:07.54ID:PULWn5fs0 今なんGに避難してる生粋のなんJ民でもこんな猿向けの対立煽りに引っ掛かるんやな
340それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:51:14.45ID:5IOOMinHp >>335
一般的な倫理観とはまた別の話ってわざわざ言わなくても普通はわかりますけど
一般的な倫理観とはまた別の話ってわざわざ言わなくても普通はわかりますけど
343それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:51:39.24ID:/PWRtlekp ――前にはあのようにつけつけとは哂わなんだて。
内供は、誦ずしかけた経文をやめて、禿はげ頭を傾けながら、時々こう呟つぶやく事があった。愛すべき内供は、そう云う時になると、必ずぼんやり、傍かたわらにかけた普賢ふげんの画像を眺めながら、鼻の長かった四五日前の事を憶おもい出して、「今はむげにいやしくなりさがれる人の、さかえたる昔をしのぶがごとく」ふさぎこんでしまうのである。――内供には、遺憾いかんながらこの問に答を与える明が欠けていた。
――人間の心には互に矛盾むじゅんした二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥おとしいれて見たいような気にさえなる。そうしていつの間にか、消極的ではあるが、ある敵意をその人に対して抱くような事になる。――内供が、理由を知らないながらも、何となく不快に思ったのは、池の尾の僧俗の態度に、この傍観者の利己主義をそれとなく感づいたからにほかならない。
そこで内供は日毎に機嫌きげんが悪くなった。二言目には、誰でも意地悪く叱しかりつける。しまいには鼻の療治りょうじをしたあの弟子の僧でさえ、「内供は法慳貪ほうけんどんの罪を受けられるぞ」と陰口をきくほどになった。殊に内供を怒らせたのは、例の悪戯いたずらな中童子である。ある日、けたたましく犬の吠ほえる声がするので、内供が何気なく外へ出て見ると、中童子は、二尺ばかりの木の片きれをふりまわして、毛の長い、痩やせた尨犬むくいぬを逐おいまわしている。それもただ、逐いまわしているのではない。「鼻を打たれまい。それ、鼻を打たれまい」と囃はやしながら、逐いまわしているのである。内供は、中童子の手からその木の片をひったくって、したたかその顔を打った。木の片は以前の鼻持上はなもたげの木だったのである。
内供はなまじいに、鼻の短くなったのが、かえって恨うらめしくなった。
するとある夜の事である。日が暮れてから急に風が出たと見えて、塔の風鐸ふうたくの鳴る音が、うるさいほど枕に通かよって来た。その上、寒さもめっきり加わったので、老年の内供は寝つこうとしても寝つかれない。そこで床の中でまじまじしていると、ふと鼻がいつになく、むず痒かゆいのに気がついた。手をあてて見ると少し水気すいきが来たようにむくんでいる。どうやらそこだけ、熱さえもあるらしい。
――無理に短うしたで、病が起ったのかも知れぬ。
内供は、仏前に香花こうげを供そなえるような恭うやうやしい手つきで、鼻を抑えながら、こう呟いた。
内供は、誦ずしかけた経文をやめて、禿はげ頭を傾けながら、時々こう呟つぶやく事があった。愛すべき内供は、そう云う時になると、必ずぼんやり、傍かたわらにかけた普賢ふげんの画像を眺めながら、鼻の長かった四五日前の事を憶おもい出して、「今はむげにいやしくなりさがれる人の、さかえたる昔をしのぶがごとく」ふさぎこんでしまうのである。――内供には、遺憾いかんながらこの問に答を与える明が欠けていた。
――人間の心には互に矛盾むじゅんした二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥おとしいれて見たいような気にさえなる。そうしていつの間にか、消極的ではあるが、ある敵意をその人に対して抱くような事になる。――内供が、理由を知らないながらも、何となく不快に思ったのは、池の尾の僧俗の態度に、この傍観者の利己主義をそれとなく感づいたからにほかならない。
そこで内供は日毎に機嫌きげんが悪くなった。二言目には、誰でも意地悪く叱しかりつける。しまいには鼻の療治りょうじをしたあの弟子の僧でさえ、「内供は法慳貪ほうけんどんの罪を受けられるぞ」と陰口をきくほどになった。殊に内供を怒らせたのは、例の悪戯いたずらな中童子である。ある日、けたたましく犬の吠ほえる声がするので、内供が何気なく外へ出て見ると、中童子は、二尺ばかりの木の片きれをふりまわして、毛の長い、痩やせた尨犬むくいぬを逐おいまわしている。それもただ、逐いまわしているのではない。「鼻を打たれまい。それ、鼻を打たれまい」と囃はやしながら、逐いまわしているのである。内供は、中童子の手からその木の片をひったくって、したたかその顔を打った。木の片は以前の鼻持上はなもたげの木だったのである。
内供はなまじいに、鼻の短くなったのが、かえって恨うらめしくなった。
するとある夜の事である。日が暮れてから急に風が出たと見えて、塔の風鐸ふうたくの鳴る音が、うるさいほど枕に通かよって来た。その上、寒さもめっきり加わったので、老年の内供は寝つこうとしても寝つかれない。そこで床の中でまじまじしていると、ふと鼻がいつになく、むず痒かゆいのに気がついた。手をあてて見ると少し水気すいきが来たようにむくんでいる。どうやらそこだけ、熱さえもあるらしい。
――無理に短うしたで、病が起ったのかも知れぬ。
内供は、仏前に香花こうげを供そなえるような恭うやうやしい手つきで、鼻を抑えながら、こう呟いた。
344それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:51:57.58ID:/PWRtlekp 翌朝、内供がいつものように早く眼をさまして見ると、寺内の銀杏いちょうや橡とちが一晩の中に葉を落したので、庭は黄金きんを敷いたように明るい。塔の屋根には霜が下りているせいであろう。まだうすい朝日に、九輪くりんがまばゆく光っている。禅智内供は、蔀しとみを上げた縁に立って、深く息をすいこんだ。
ほとんど、忘れようとしていたある感覚が、再び内供に帰って来たのはこの時である。
内供は慌てて鼻へ手をやった。手にさわるものは、昨夜ゆうべの短い鼻ではない。上唇の上から顋あごの下まで、五六寸あまりもぶら下っている、昔の長い鼻である。内供は鼻が一夜の中に、また元の通り長くなったのを知った。そうしてそれと同時に、鼻が短くなった時と同じような、はればれした心もちが、どこからともなく帰って来るのを感じた。
――こうなれば、もう誰も哂わらうものはないにちがいない。
内供は心の中でこう自分に囁ささやいた。長い鼻をあけ方の秋風にぶらつかせながら。
(大正五年一月)
ほとんど、忘れようとしていたある感覚が、再び内供に帰って来たのはこの時である。
内供は慌てて鼻へ手をやった。手にさわるものは、昨夜ゆうべの短い鼻ではない。上唇の上から顋あごの下まで、五六寸あまりもぶら下っている、昔の長い鼻である。内供は鼻が一夜の中に、また元の通り長くなったのを知った。そうしてそれと同時に、鼻が短くなった時と同じような、はればれした心もちが、どこからともなく帰って来るのを感じた。
――こうなれば、もう誰も哂わらうものはないにちがいない。
内供は心の中でこう自分に囁ささやいた。長い鼻をあけ方の秋風にぶらつかせながら。
(大正五年一月)
345それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:52:17.29ID:CJ4i1pPyd346それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:52:32.41ID:Y2NRxNB40 でもお前ら論破せずに実力行使するよね
347それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:53:08.61ID:bpHcB9Uh0 そして動物を庇護のもと繁栄させてるのは「共生関係」やで
野生に放したら滅びてまう
野生に放したら滅びてまう
348それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:53:31.84ID:OdkL0PC60 伸びてると思ったら焼け野原で草
349それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:53:32.83ID:PwXXpPUQ0 もしかして肉食って地球に良くないのか?
ならヴィーガン頑張ってくれ
ワイは肉食うけどな
ならヴィーガン頑張ってくれ
ワイは肉食うけどな
350それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:53:37.85ID:CJ4i1pPyd351それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:53:46.07ID:OdkL0PC60 >>160
うおおおおおおおおおおおおおおおおおお
うおおおおおおおおおおおおおおおおおお
352それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:53:53.26ID:CJ4i1pPyd >>350
今の倫理は人類滅亡まてわ
今の倫理は人類滅亡まてわ
353それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:53:55.71ID:n0ubgD5w0 そもそも何で痛覚がなければ傷つけていいのか
植物だって呼吸や成長するし生きてるだろ
植物まで制限されると食うものなくなるからっていう自分達の都合にしか見えないンだわ
植物だって呼吸や成長するし生きてるだろ
植物まで制限されると食うものなくなるからっていう自分達の都合にしか見えないンだわ
354それでも動く名無し
2022/03/23(水) 18:54:28.22ID:5IOOMinHp■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
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