北山は直感でトップシークレットだと悟った。合宿所の食事会場で必死に平静を保っていると万波が近寄ってきた。

「北山さん、もしかしたら開幕投手あるんじゃないですか」。ドキッとしたが、表情は変えずに「いや、たぶんないんじゃないかな…ないと思うんやけど」と返答。

事なきを得たが、同席していた同6位長谷川威展投手(22=金沢学院大)は「カキフライを食べた時にせき込んでいたかもしれないです」と証言。思わぬ事態に、さすがに動揺もあった。

翌21日の札幌ドームの全体練習では、知っているだろうと武田投手コーチに尋ねた。「僕、開幕なんですか」。同コーチは「いや、俺らも聞いていない。これはちょっとまずいから誰にも言うなよ」。

その後もエース上沢らの探りも切り抜け、23日午前10時半に新庄監督がSNS発表。「ウソをつくのが心苦しかったんで後から謝りました」。今は重圧から解放された。


万波草