敵地、東京ドームで迎えた巨人戦
先発ガンケルが大量失点、打線も佐藤がブレーキとなり勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は143敗だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、昨年の名誉キャプテン糸原は独りベンチで泣いていた。
明治大学で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の阪神で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」糸原は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、糸原ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰って予祝をしなくちゃな」糸原は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、糸原はふと気付いた