初めて見た光景でした。

 3月27日、開幕カードの広島戦で3連敗が決まった直後のロッカールーム。いすに腰をかけた牧が天井を見上げたり、腕を組んだり。言っていいか分からないんですけど、ずっと泣いていました。

 いつも明るく、引きずらないことを取りえとする選手が見せた悔しさでした。

 チームが勝てないこと、九回に併殺を取れずに逆転のきっかけをつくったこと。全てをひっくるめた責任感と熱い気持ちが伝わってきました。

 牧とは長野・松本第一高3年春に出会ってから、先輩、後輩の間柄でやってきたけど、話しかけられなかったのは初めて。そのロッカールームで佐野さんが寄り添っていたのが印象的でした。

 あの日、牧には「おまえと一緒に野球をやりたかったよ」と声をかけました。牧も「本当っすよ」とか言ってましたけど、自分が過ごした6年間の現役生活で、そこまで気持ちを高ぶらせてグラウンドに立ち、勝ちに貪欲になれたのか。なぜ牧が1年目から活躍し続けているのか。彼の原点というか、すごみを教えてもらった気がします。

 2020年に現役を引退し、野球振興・スクール事業部を経て、昨秋からチーム付き広報となった百瀬大騎です。24年ぶりのリーグ制覇を目指す選手たちを裏側で支える奮闘模様などを紹介していきます。選手やチームの思いを届けることで、ファンに横浜スタジアムやテレビの前で熱い声援を送ってほしいです。