監督室に到着すると、ジョーから「カワ、申し訳ないけど故障者が復帰するから、マイナーに行ってくれ」と説明してくれる。そこで僕は「いいよ、大丈夫だよ」と答えたあと、「マイナーに落ちる前に美味しいワインを1杯だけ飲ませてくれ」とお願いしました。 

 ジョーはとにかくワイン好きで、監督室にワインセラーがあって高級ワインが何本もそろっていたんです。ジョーも「おおそうか。それならば」と言ってくれて、一番上等なワインをご馳走してくれました。産地などはわからなかったけど、赤ワインでした。あの時のワインはめちゃくちゃ美味しかったなぁ……。それで飲み終えると、「じゃあ行ってくるよ。またすぐに帰ってくるからいつでも呼んでね」という感じで、ジョーとの楽しい時間を過ごしてからマイナーリーグに戻っていました。

 なんていうのかな、ジョーは僕を「支配しよう」としなかったんですよね。それがメジャーリーグの良いところです。僕は僕として尊重してくれて、誰も支配しようとしない。その空間がたまらなく好きでしたし、それがあったからメジャーリーグに居続けたいと思えたんでしょうね。

 日本だとちょっと支配感が強すぎる気がして……。決して批判しているわけではないですし、それはそれでひとつのやり方だと思うんですけど、自分としてはジョーのような、選手に対するリスペクト感が好きでしたね。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c2afae633d5f1766afe248d00741aff5cb2739d5?page=2