阪神監督・矢野燿大は予祝を実践している。キャンプ最初の練習休日だった4日、毎年恒例、球団主催のマスコミ関係者との懇親会があった。乾杯の音頭に立った矢野はこう言った。

 「皆さんのおかげで、2019年、優勝できました! ありがとうございました。それでは3、2、1、かんぱ〜い!」

 まるで、優勝祝賀会のように「優勝できました」と言ったのである。あれは予祝だと隣席の球団社長・揚塩(あげしお)健治と話していた。

 後に確認すると、矢野は「はい、そうです。予祝です」と言った。むろん、その言葉も効果も承知している。

 「とにかく言い切ってしまおうと思いまして、僕はそうしています。“優勝したい”ではなく、“優勝します”。これは選手たちにも話していることです」

 そこには、昨年最下位だからとか、わざわざ口に出さずともとかいった、てらいなどない。

 ひすいこたろう、大嶋啓介の共著『前祝いの法則 予祝のススメ』(フォレスト出版)に<言い切ることから奇跡ははじまる>とある。

 たとえに、フランスの医師、自己暗示法の創始者と呼ばれるエミール・クーエ(1857―1926年)の「クーエ療法」が紹介されている。患者に毎朝「毎日少しずつ、わたしの体のすべてがますます良くなりつつあります」と唱えさせる。これだけで多くの患者に驚異的な回復が見られたという。<ポイントは「〜なりたい」ではなく、「〜です」「〜なりつつある」「〜である!」と言い切ることです>。

 矢野も同書を読んでいた。自己啓発に興味を持つ矢野は「いろんな人と関係ができ、つながりも広まりまして」と、大嶋とも近く面会する予定があるらしい。

引用元
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/02/16/kiji/20190215s00001173341000c.html