あの人は今　 元千葉ロッテマリーンズ　佐々木朗希さん（34歳）

2036年、ワールドシリーズ。 それをテレビで見つめる男がいた。
18歳で将来を嘱望され千葉ロッテマリーンズへ入団した、佐々木朗希さんだ。
「あの頃は若かったですね（笑）」若き日を回想する佐々木朗希は、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。ワールドシリーズで、俺が完封して活躍する夢を」

佐々木さんは20歳の時に登板過多の影響で肩関節唇損傷にかかり、4年間リハビリを続けたが
結局完治することはなく、マリーンズから戦力外通告を受けた。
今は居酒屋を営む傍ら、地元の少年野球のコーチを勤めている。
暖簾の屋号の文字は元マリーンズ、井口監督の手によるものだ。

「いらっしゃい」。大船渡駅から歩いて3分。
「海鮮居酒屋 令和」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると白いタオルを
頭に巻いた佐々木朗希さんの元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『令和』という文字は井口さんに書いて
いただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった。
おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
佐々木さんは本当に嬉しそうに、僕たちに語ってくれた。
とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。

かつてのライバルで現メッツ所属の奥川について尋ねると…
「知ってます？20歳までは僕の方が球速かったんですよ？」と、おどけ
「俺も怪我さえ無ければって…歯がゆいですけど」
「今はもう現役に未練はありません。今度はこの、居酒屋で日本一になれるよう、
がんばるだけです！」
（写真）とれたてのあわびを手に持つ佐々木さん