高校3年の5月に野球部の練習で「ピッチャーの練習をさせて下さい」と直訴したのがすべての始まりだ。キッカケをくれたのは田上投手の祖父・則一さんだった。

「おじいちゃんがピッチャーをやれと言ってくれたんです」

 その“おじいちゃん”とは、田上投手の叔父で元ホークス・田上秀則さんの父にあたる。小さい頃から一番の練習相手だった祖父・則一さんは奏大少年の投手としての可能性を早くから感じており、プロを目指すにあたり、投手挑戦を勧めたそうだ。そして、田上投手もおじいちゃんの言葉を信じ、投手挑戦に至った。

 投手歴わずか半年の田上投手の能力を評価し、見つけ出したホークスのスカウトも当然凄いのだが、則一さんこそが孫の一番のスカウトだった。家の裏には則一さんが作ってくれたマウンドがあるという。成長著しい奏大少年の球を受け、骨折してしまった経験もあるという則一さん。