本書によれば、アメリカでは1996年、野球マニアの医学生5人のグループが、『ベースボール・プロスペクタス(野球趣意書)』という本を出版、球数と投手の肉体に相関関係についての新たな見解を打ち出した。98年には彼らのウェブサイトで「投手酷使ポイント(PAP)」という投手の疲労度、故障の確率を数値化する方法を発表。100球以上の球数が肩、肘を壊す可能性を具体的な指数にして算出し、野球界でもスポーツジャーナリズムでも一時大いに注目された。

 しかし、それではなぜ、100球という球数が基準になったのか。PAPを考案した医学生は「100は単なる出発点だった。あれをPAPの基本線にしたのは、99球までは害がないと思っていたからに過ぎない」と、パッサンのインタビューに答えている。何の根拠もなく100球を基準にしたことに「罪の意識を覚えている」というのだ。

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