この辺野球チームっぽくなくて好き

 矢野監督は2軍監督時代から、選手にヒーローインタビューのマネ事をさせたりと、ポジティブ思考でチームを変えようと取り組んできた。それだけに清水ヘッドの進言は、まさに自分の考えとマッチしたのだろう。
「矢野監督は昨年、2軍監督就任と同時にいわゆる自己啓発など、啓蒙書の類いを読みあさり、特にアドラー心理学に心酔していた。その影響を受けての指揮は『スピリチュアル采配』と言えるかもしれませんね。ミーティングでは、本でかじった名言や訓話が飛び出し、若手には好評でした」(在阪スポーツ紙記者)


信じる者こそ、何とやらというが、矢野監督がこだわる“予祝”はチーム内にも飛び火。あるフロント幹部は「監督だけでなく我々、フロント、選手もそれをやっていこうということ。まだ試合結果も出てないのにヒーローが誰かと想定してヒーローインタビューの準備をしたり、遠征先の食事会場でも“予祝”で盛り上がっている」と明かしている。
例えば後半戦開幕カードとなった中日戦(ナゴヤドーム)で控え組の陽川尚将内野手(30)が1戦目に本塁打を決めた翌日、球団は「2戦連発おめでとうございます」と“予祝”して試合前からテレビ局にインタビューを依頼し、想定問答まで設定。
食事会場では糸井ら主力組に「(球宴でサイクル安打を達成した)近本選手に続くサイクル安打、おめでとうございました!」と呼びかけ、選手も「おかげさまで打てました」と返答するなど、大いに盛り上がっている。
他にも試合前の真っ白なスコアブックに「近本三塁打」とわざと記入し「これも予祝のひとつ」(球団関係者)とするなど、チーム挙げての“予祝ラッシュ”を徹底していたのだ。