もちろん当時は全てが心地よい声援だったわけではない。チャンスで凡退するとため息をつかれ、失策すると厳しい言葉もかけられた。しかし、それらも全て阪神ファンの愛情だと移籍してから気が付いた。

「失敗しても注目される。大変やなって思うけど、他球団じゃなかなか(新聞の)一面になることはないけど、阪神はヒーローになれるチャンスも沢山ある。いいことも悪いこともファンが見てくれてるのは幸せやなって思う」。この時、大和は阪神ファンの事を「みんなが監督」と表現した。

「(阪神ファンは)ほんまの野球好き。厳しい言葉も言われるけど、勝っても負けてもファンが急に減ることはないし、連敗してもそれでも応援するやん? 熱量が違うんよ」ご存じの通り、現在チームは21戦を終え、わずか3勝。それでも大和の話したように「もう阪神ファンやめるわ!」と本気でファンをやめた人はいるだろうか。「なんでピッチャー変えへんねん!」「ここ代打やろ!」そんなことを言いながら球場へ足を運び、自宅のテレビで阪神の試合をみているはずだ。かつての暗黒時代も2003年や2005年のリーグ優勝時には「あん時弱かったな〜!!」と笑い話にできたはずだ。