実際に、誤振込があることを知りながら、受取人がそのことを銀行に隠してお金を引き出す行為は、銀行に対する詐欺罪ないしは窃盗罪を構成すると示した裁判例があります。
(最高裁第二小法廷平成15年3月12日決定、東京高等裁判所平成25年9月4日判決など)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50004


自己の口座に誤った振込みがあることを知った場合には,誤った振込みがあった旨を銀行に告知すべき信義則上の義務があると解される。(中略)
誤った振込みがあることを知った受取人が,その情を秘して預金の払戻しを請求することは,詐欺罪の欺罔行為に当たり,
また,誤った振込みの有無に関する錯誤は同罪の錯誤に当たるというべきであるから,錯誤に陥った銀行窓口係員から受取人が預金の払戻しを受けた場合には,詐欺罪が成立する。