監督目線での記事


國保に変化があったのは、花巻東との決勝からちょうど1年後、2020年7月の岩手大会初戦だった。  
この日、國保は身振り手振りで選手に指示し、メンバーのほとんどを起用した。
敗れはしたものの、憑き物が落ちたように晴れやかな表情をしていた。
試合後、久しぶりに声をかけるとあの日の真相を初めて語り出した。

「(佐々木を)壊しちゃいけないというプレッシャーがあった。
世界の野球の歴史を変えるかもしれない才能を、壊さずに次のステージへ繋げなければならない。そう思っていました。
朗希を登板させないことは当日の朝に、歩き方や朗希の表情を見て決めました。高校3年間で一番、ケガのリスクがあるな、と」

試合を放棄したという指摘には強く否定したが、選手への説明が不足していたのは事実だろう。

「事前に佐々木本人に相談したら、『投げたいです』と言うのは明らかだった。
野手に伝えたら、『僕らがサポートするので投げさせてやってください』というに決まっています。
一言でも相談したら、止められなくなると思いました」  

國保は自分ひとりだけが悪者になることを選び、すべての責任を背負い込んだのだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5418b18bf2339df4ca9796381ac62081b95f417