政府・中央銀行が講じた対抗策がある。輸出企業は外貨売り上げの8割をルーブルに両替することが義務付けられた。外国人投資家はルーブル建て資産を売ることも、国外に持ち出すことも禁じられた。「実質的に市場として機能していない」(在英アナリスト)との見方はあるが、金融危機の回避に当面成功したとも言える。
 それでも、制裁がロシア経済に落とす影は色濃い。3月の消費者物価指数は前年同月比16.7%の上昇と、欧米を上回る急激なインフレが進行。多くの国民が食料品価格などの高騰に直面する事態となった。
 モスクワのソビャニン市長は、外資系企業が侵攻後に相次ぎ撤退を決めたことを受け、「約20万人に失業の恐れがある」と懸念。国際通貨基金(IMF)による最新の予測では、ロシア経済は2022年に8.5%減、23年も2.3%減と、2年連続でマイナス成長に陥る見込みだ。
 IMFのチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は、侵攻を機に「世界が地政学的な経済ブロックに永続的に分断される危険がある」と警告。ナビウリナ・ロシア中銀総裁も、多くの国内企業が外国との貿易を制限され、ビジネスを抜本的に見直す必要に迫られていると認め、侵攻の代償の大きさが浮かび上がっている。 

これはノーダメージだな