広岡の最初の一文とは全然違う内容のバレンティン批判すき

私が最大の勝因に挙げたいのは、あのバレンティンである。

 バレンティンは米大リーグのマリナーズ、レッズをへて2011年(平成23年)にヤクルトに入った。その年から3年間、セ・リーグのホームラン王を続け、なかでも2013年には、王が持っていた年間55本の日本記録を破って60本の大記録を打ち立てた。

 彼は4年目の2014年もホームラン31本、打率・301の数字を残したが、この間のヤクルトの成績は、バレンティンの1年目こそ2位だったものの、その後2014年までの3年間は3位、6位、6位と急降下している。

 そして左アキレス腱痛でシーズンを棒に振った2015年は、チームが14年ぶりのセ・リーグ優勝を勝ち取った。このバレンティンの足跡とヤクルトの戦績を振り返って、私は一つの相関関係に気づいた。つまりヤクルトナインは、アメリカからやってきたホームランバッターがあまりにポンポン飛ばすので、すっかり頼り切っていたが、その大砲がいなくなった2015年は「大変だ。俺たちみんなで頑張らなくちゃ」とやっと目が覚め、団結したというわけだ。目覚めた若い選手たちの成長で、ヤクルトは大砲バレンティンがいなくても優勝できた。

バレンティンは2014年10月、アメリカの病院で左膝の手術を受けた。翌2015年は1軍初スタメンの4月24日に左大腿直筋の肉離れで登録抹消。その後、治療のためアメリカに帰国し、優勝争いが激しくなった9月18日の巨人戦から戦列に復帰した。だが、練習不足を露呈して最終打率は・186、ホームラン1本。日本シリーズでも打率・176でホームランは1本もなかった。

 CSや日本シリーズのバレンティンはフォームがバラバラで悪球に手を出し、日本一のソフトバンク投手陣にキリキリ舞いした。前年来の左アキレス腱痛が治っていないらしく、バッティングの基本である左足の踏ん張りがきかないのでは、売り物のホームランどころか、まともなヒットすら打てるはずがない。

 バレンティンはほとんど1シーズン、アメリカで何をしていたのか。本当に足の治療をしていたのかといいたい。