>>751
申し訳ないがサイボーグの戯言はNG

血が通わず、爪も伸びない

館山が右手血行障害の改善手術を受けたのは2011年の11月である。1度の手術では完治しないのが、この病の厄介なところ。館山本人とヒザを交えて話したのは、一昨年の2月のことだ。

血行障害とは、文字どおり血が通わなくなる傷病だ。自分の脈がとれなくなった際のショックは、想像して余りある。

「もうこの体はしょうがない。単に血行障害になりました、リハビリをしました、手術をして治りましたという人と僕の場合は違うんです。ひとつ治れば、ひとつがまた壊れる。その繰り返しなんです」

その物言いに、ある種の諦観が垣間見えた。

だが、そこで終わらないのが、この人物の真骨頂である。

血が通わず、「爪も伸びない」という指先でボールを握ると、どうなるか。指がへこんでしまう。あろうことか、館山は、人体の異変≠キらピッチングに利用してみせたのだ。

「投げる前にギュッと(指先を)ボールに押し付けると、指先に縫い目の跡がそのまま残る。そのへこみに引っかけて(ボールを)投げると、コントロールがつくんです。この発見はおもしろかった……」