投手コーチからは、救援投手たちが代走で出場する可能性があると告げられていた。まだ登板していなかったのは祖父江大輔、鈴木博志、ルーキーの橋本侑樹、そして三ツ間氏ら。「ネクスト(バッターズサークル)までは行ってもらうかもという話になり、防具をつけてストレッチはしていました」。といっても、「ネクストまでだろう」と落ち着いて構えていた。

 試合は風雲急を告げる。10回1死一、三塁から平田良介がライナー性の右飛を放つも、三塁走者の遠藤一星は一か八かのタッチアップはせず。「二塁は空いてる。あれ? 計算上やばくないか?」と三ツ間氏も思った。2死一、三塁で打者は京田陽太。その次は4番手で10回に登板した岡田俊哉。嫌な予感は的中した。

 そう指示され、ブルペンから異様な雰囲気が漂うベンチへ。白羽の矢が立ったのには理由があった。鈴木は打撃練習で鋭い打球を飛ばすことが少なく、橋本はまだ新人。三ツ間氏は筋骨隆々の体で「ロングティーは結構飛ばすんですよ」とパワーには自信があった。

 予想通り京田は歩かされ、2死満塁に。一打逆転サヨナラの大チャンスで、投手から投手への「代打三ツ間」が告げられた。

 マウンドには、守護神の石山泰稚。右打席に立ち、うまく気持ちを切り替えた。「抑えの人の球を直近で見る機会なんてない。どんな球を投げるのかまず見極めよう」。配球も考えながら、ファウルでなんとか食らいついた。しかし、結果的には空振り三振。七夕の願いは叶わなかった。