これまで見たことがない鬼の形相だった。
取材に応じると、怒りの矛先は甲斐に向けられた。9回2死の場面だ。  
「モイネロで打たれたら仕方ない。けど、リード面は考えないといかんよね。
あそこでホームランが一番いけないところ。こっちは4点差でも又吉、モイネロと万全の態勢でいってる訳やから」

西川に対し、外角を狙った直球は真ん中に入り、痛恨の同点3ランを被弾した。
「あそこはもっと、好調打者を警戒しないといけない。投手に対して“低く”とか“長打はダメ”とか。
やっぱり勢いでいっているように見えたね」。

いらだちは隠せない。伏線があった。
27、28日の西武戦。初回、いずれも山川に直球を3ランされ、2連敗した。
そこでも甲斐のリードやジェスチャーに対して
「考えてもらわないと。構えたところに来ないなら、いかないようにリードしないといけない」
と苦言を呈していた。