【シリコンバレー=奥平和行】米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」が20年あまりの歴史に幕を下ろす。現在も購入できる「iPod touch」の在庫がなくなり次第、販売を終えると10日に発表した。アップルは2001年にiPodを発売し、同社の発展の礎になるとともに、音楽業界にも大きな影響を与えた。

アップルは01年10月に初代のiPodを発売し、小型の本体に1000曲の音楽を入れて持ち運べることや、ドーナツ状のパネルを活用した独自の操作方法が話題を呼んだ。タッチスクリーンを備えたtouchは07年に発売した。

アップルのグレッグ・ジョズウィアック上級副社長は10日の声明で「iPodは音楽産業に影響を与えたのみならず、音楽をどのように見つけ、聴き、共有するかを再定義した」と述べた。

iPodや、組み合わせて楽曲の管理などに使う「iTunes」のヒットにより、音楽のインターネットを通じた流通が拡大した。CDの販売に依存してきたレコード会社などは長年にわたって売り上げ減に苦しみ、スポティファイなどサブスクリプション(定額課金)型のサービスが普及するまで苦境が続いた。

アップルは従来、パソコンが事業の主体だったが、iPodの発売により商品群を広げ、比較的手ごろな価格で販売したことから顧客層を広げる役割も果たした。iPhoneの発売にもつながった。一方、「ウォークマン」により音楽を外で聴く文化をつくったソニー(現ソニーグループ)とのこの分野における「主役交代」も話題になった。

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