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 番組では、古美術鑑定家の中島誠之助さんが「国宝の曜変天目と同じものに間違いない。漆黒の地肌に青みを帯びた虹のような光彩がわき上がっていて、まるで宇宙の早雲をみるようだ」と絶賛。100万円とした所有者の自己評価を大きく上回る2500万円の鑑定額をつけた。

 曜変天目は、南宋時代(12〜13世紀)の中国・福建省で制作された陶器。完全な状態では3点しか現存せず、藤田美術館(大阪市)と静嘉堂文庫美術館(東京)、大徳寺龍光院(京都市)で所蔵。いずれも国宝に指定されている。今回の茶碗が曜変天目であれば、「4点目」という驚きの発見となる。

 しかし番組放送後、曜変天目茶碗の再現に父の代から挑み続け、何度も中国に赴くなどして研究を続ける陶芸家、九代目長江惣吉さん(54)=愛知県瀬戸市=や大学教授、学芸員ら複数の専門家が「似ても似つかない」「鑑定する以前の問題」「本物なら桁が3つくらい増えてもおかしくない」などと相次いで鑑定結果を疑問視した。

 論争は過熱し、徳島県教育委員会は、いったん計画していた茶碗の文化財指定に向けての調査を中止に。当初協力的だった所有者から中止の申し出があったという。

 インターネットを中心に続いていた論争もやがて収束に向かうと見られたが、そうはならなかった。

 所有者から依頼を受けた奈良大の魚島純一教授(保存科学)が2月22日、茶碗の表面の色の成分分析を実施したのだ。