10億円送金、理事長給与に認定 了徳寺大などに国税指摘も「事業で借り入れ。返金した」と反論
[2022年5月30日8時20分]

了徳寺大(千葉県浦安市)を運営する学校法人と、同じグループで専門学校を運営していた学校法人が2017~18年、関連法人に送金した総額約10億円は、実質的に大学の理事長を務めるグループトップの了徳寺健二氏の給与に当たるとして、東京国税局が両学校法人に源泉所得税の徴収漏れを指摘していたことが29日、関係者への取材で分かった。

関係者によると、関連法人への送金後、すぐに同額が了徳寺氏側に移されていたという。税額は重加算税を含め総額約6億円に上るとみられる。

了徳寺氏は取材に対し「給与ではなくグループ全体の事業資金として借り入れたもので、私的に使っていない。すでに返還もしている」と話し、国税局の処分は不当だとして訴訟提起する意向を示している。

了徳寺氏は了徳寺大の他、東京都墨田区で柔道整復師などの専門学校を運営していた学校法人「了徳寺学園」や医療法人を設立。当時は学園の理事長も務めていた。専門学校は昨年に運営主体が変わり、同氏は理事長を退任している。

関係者によると、了徳寺大は17年、複数回にわたり計8億円をグループ内の医療法人に送金。医療法人は資金が入った直後に同額を了徳寺氏側の口座に送った。了徳寺学園も17~18年、計2億5000万円を医療法人に送金し、直後に同額が医療法人から了徳寺氏側に送金されていた。

国税局は関連法人を経由した一連の送金が了徳寺氏の指示で行われていたと判断。資金の一部が同氏の関連会社に送金されていたことなどを踏まえ、給与と認定したもようだ。

了徳寺大は医療法人への送金について「クリニックの営業権譲渡契約に基づく代金の一部」と説明。医療法人から理事長に送られた資金については、理事長個人が医療法人から借り入れ、関連企業の事業資金に充てたもので、私的に消費していないとしている。

了徳寺大は06年開学。理学療法学科や看護学科があり、職員柔道部には昨夏の東京五輪男子柔道で金メダルを獲得したウルフ・アロン選手らが所属している。(共同)