嫁にまで言われるのかわいそう

 お相手の山林堂騎手は43歳。1997年にデビューしたベテランだ。2人を引き合わせたのは、ある“馬”だった。じつは、矢部は3年前に地方競馬の馬主資格を取得している。そして2019年10月に矢部の所有馬に、山林堂騎手が騎乗したのだ。

「それまで、山林堂という騎手がいることも知らなかったんですよ。成績も上位ではないですから。でも、エージェントが『腕は確かだから』と言うので乗ってもらったんです。何度か騎乗を依頼していくうちに、騎手という仕事に対する真摯な姿勢に惹かれていきました。私の所有していた『ディーレクタ』は、気性の激しい馬なんですが『怪我の危険があるけど、美穂の馬だから乗りこなしてみせるよ』と言ってくれて。それで“キュン”ときましたね」